合格者の声

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2021/07/08

【年金検定1級】社会保険労務士事務所開業 那須裕之さん 年金を正しく理解し、将来を考えるきっかけを提供したい

年金検定1級合格
社会保険労務士事務所開業
那須裕之さん
2021年3月試験合格

年金を正しく理解し、将来を考えるきっかけを提供したい

まずは現在のお仕事についてお聞かせください。

2020年11月、那須社会保険労務士事務所を開業しました。

本格的な活動はこれからとなります。

これまでのご経歴と独立された経緯について教えてください。

2018年に60歳で定年退職するまで都市銀行及び関連会社に勤めていました。転勤も多く、大阪、東京の支店や本店、アメリカ、香港への駐在もありました。業務としては、融資畑が長く、地域企業に対する貸出しが主でしたが、他にもいろいろな金融業務を経験しました。

独立という選択肢を初めて考えたのは、2007年頃でしょうか。

40代後半に差し掛かった頃、勤務先でセカンドキャリアを考える研修があり、これからの人生設計をした時に、リタイアしたら「資格を取得し独立する」という選択肢も一つだと漠然と思いました。当時、「消えた年金問題」がニュースとなっていたことや、また自分の年金受給額をこの研修で知る機会がありましたので、「年金って面白そうだな」と感じ、後に社会保険労務士を目指す動機にもなりました。

その後60歳定年を目前にし、希望したら65歳まで働きそれなりの収入は確保できるものの、65歳まで勤めてその時にどれだけの気力・体力が残っているか不安がありました。また親の看護など様々な要素もありまして、自分の残りの人生を考えた時に、新しい道に挑戦するのもラストチャンスだろうと決意し、2018年6月に60歳を迎えたタイミングで定年退職し、以前より興味があった「社会保険労務士」を目指すことにしました。

おかげさまで定年の翌年、2019年に無事合格することが出来ました。その後、2020年に実務経験に代わる「事務指定講習」を受講して開業、現在に至るところです。

年金検定1級はどのようなきっかけで受験されたのでしょうか。また受験されていかがでしたか。

社会保険労務士の業務には、大きく分けて「労働保険分野」と「社会保険分野」に分かれます。前述のように、私は年金方面に関心がありましたので、開業準備中から、「社会保険分野」を仕事にしたいと考えていました。そこで「年金の専門家・スペシャリスト」を名乗るためにはもう少し深掘りをして、スキルを身に付ける必要があると思い、「資格の学校TAC」のホームページを閲覧していた時に「年金検定」を知りました。

年金検定2級、1級ともに社会保険労務士の学習から目新しいと思うようなことはさほどありませんでした。しかし、社労士受験中に学習したことであっても既に忘れていた問題や、勘違いをして覚えていた問題に気付きましたので、知識の再確認にとても有益な試験でした。また、社労士試験に出題のない手続きに関する問題も出され、実務に直結した内容であったと思います

2級、1級どちらも馴染みのある内容でしたが、1級の事例問題を解くのには少し苦労しました。事例問題は、年金の種類や配偶者の年齢など細かい設定があり、その条件から計算をして答えを導いていくのですが、断片的な知識では解けません。これまで学んだことから必要な知識を選択して結びつける必要があります。だからこそ、実践に近い形式で年金を学べ、その点が1級の特徴であり、良い点だと思います

ネガティブな印象を持たれがちな「年金」ですが、なぜでしょうか。

大きく2つの課題があると感じています。

一つ目は「自分が現在いくら保険料を払っていて、何歳からいくら受給できるのか、ということを正確に知らない人が多い」ということです。実際に、その時が来たら国が自動的に面倒を見てくれるだろうと思い込んでいる人も少なくないと思います。

65歳から自分が亡くなるまでの間、いくら年金を受給できるのかということがわかれば、月々どれだけ足りないのか、その分をどのように補うべきか、ということを考えることができます。このように、皆さんが将来のことを考える機会を作ることが私の役目でもあると思っています。

一般企業に勤めている会社員は国民年金に加えて厚生年金があり、更に企業年金等がある方もおられます。一方、自営業の方、特に最近はフリーランスで働く方も増えていると聞きますが、このような方は国民年金の加入だけだと、20歳から60歳までの40年間保険料を払い続けたとしても65歳から受給できる年金額は月約6万5千円です。年金保険料は、現在ですと、月1万7千円弱、年間にして約20万円。40年間納めたら約800万円になりますね。わたしたちが納める保険料に国庫負担分を加えたものを財源として終身年金が受け取れます。けれども、月6万5千円だけでは生活していけませんよね。従って公的年金に上乗せする私的年金に加入したり、その他の資産形成をして老後に備えることが必要になります。

つまり、今の若いうちにプラスアルファで何かをしておいたほうが良いということです。少し前に「老後2000万円問題」というのもありましたが、現行の年金制度は、元々それだけでは老後生活全てを賄えるものではありません。ですから、「足りない」ということを広く知らせたいですし、自分の生活設計を若いうちから考えておく必要性や、将来に向けて蓄える様々な方法などをお伝えしていくことが重要だと思っています。

年金について正しく理解し、その上で若いうちから生活設計を考える必要があるということですね。

そのとおりです。そして、二つ目の課題は「将来、年金なんてもらえるかわからない、どうせもらえないから保険料なんて払わない」とおっしゃる方が多いことです。そのような方には、国の制度を信用していいということを丁寧に説明していきたいです。

「少子高齢化で近いうちに今の若い人一人がお年寄り一人を支えなければならなくなる」「年金制度なんて破綻する」などという煽りもあるようですが、それも違います。

年金はそれほどやわな制度ではありません。確かに、年金受給額が現役時代の所得に対する比率(所得代替率)が変化していく可能性はあると思いますが、年金制度自体が破綻してお金がもらえないということでは決してありませんし、年金が老後生活を支える大きな収入源であることは変わりません。

しかし、年金だけを頼りにしては老後の月々の生活が賄えないということは事実ですから、年金の受給以外にも考えたほうが良いということ、自助努力の部分が大事だということ、これらを広く伝えていきたいと思います。

年金検定をどのような方にオススメしたいですか。

社会保険労務士ほか士業の方はもちろん、一般企業の人事総務部門にお勤めの方で、年金に興味のある方はぜひ学習をして挑戦してほしいと思います

今後の抱負をお聞かせください。

年金検定2級、1級のほかにも、開業準備中にDCプランナー1級、2級、行政書士資格を取得しました。これまでがインプットの連続でしたので、今後は、アウトプットの機会を作ることが目標です。

所属している社会保険労務士会支部での活動では、「街角の年金相談」や役所での年金相談会、また、学校教育の場等へ伺い、生徒さんに対して労働や社会保険に関する基礎知識を伝える“出前授業”などもあります。このような行政のお仕事もこれから沢山お手伝いしていきたいと思います。