合格者の声

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2023/04/10

【経営承継アドバイザー】自営業 遠藤 あずささん 対話事例と質問集が豊富な『経営承継アドバイザー講座』、 学びを活かして移住先の継業を促進し、魅力あるまちづくりに貢献したい!

自営業
遠藤 あずささん
2023年1月認定

対話事例と質問集が豊富な『経営承継アドバイザー講座』、
学びを活かして移住先の継業を促進し、魅力あるまちづくりに貢献したい!

まずは現在のお仕事についてお聞かせください。

富山県南砺市にて【後継者不在の事業主と移住希望者をつなぐ“継業”の支援を行っています。私自身が4年前に移住先を検討していた際、後継者を募集している事業所があればその地域へ移住したいなと思い色々と調べてみたのですが、4年前にはそのような情報はほとんどなく「移住希望者にとってニーズのある内容なのにもったいないな」と思っていました。もちろん、地方の小規模事業者のほとんどが親族内で事業承継を行うため、情報を公にするリスクも理解できましたので、そのときはそういうものとして流していましたが、この2~3年で時代は大きく変わりました。今ではM&Aのマッチング業者が急増して、事業を譲渡したい人を含めて多くの後継者募集情報がWeb上に溢れています。

そのようななか、ひょんなきっかけで南砺市に対して新規事業を発表する機会に恵まれ、よいチャンスだと思い、2年前に『継業事業』を提案しました。そのときにはまだ先を行く内容でしたので反発も予想していましたが、南砺市の方々からは賛同をいただくことができ、役所の担当職員の協力もあって令和4年度より市の新規事業として活動をさせていただけることとなりました。

『継業』の支援とは、具体的にどのようなことをされているのですか?

まずは『後継者は不在だけれども事業は続けていきたい』という方を探さなければなりません。そこで南砺市内1,800事業所を対象とした事業承継のアンケートを実施して、継業を希望していそうな事業所を絞り込み、1件1件訪問していきました。第三者から後継者を探したいという明確な気持ちがある方については、南砺市の企業情報&就職サイト『なんとジョブ』へ継業者募集の情報を載せていきました。

それとあわせて後継者募集用のチラシと体験メニューを作成しました。また移住者との親和性が高い案件については、移住支援課と連携をして都心部に設置されている移住支援センターへの協力も依頼するなどPRを強化していきました。その成果もあり、事業を始めてから最初に支援した事業所については、約半年で後継者候補を決定することができました。

近年、地方への移住を希望する人も増えていますし、継業という選択肢が加わればさらに魅力的な地域としてアピールできそうですね。

そのとおりだと思います。

しかし、後継者候補が決まったとはいえここで油断はできません。実際に事業承継を実現させ、さらにその後の事業運営が軌道に乗るまでサポートは続いていきます。目的はあくまでも「地域になくてはならない“なりわい”を継続していくこと」であり、「雇用の維持・拡大」「若者が魅力を感じる事業所を増やしていくこと」ですので、候補者の移住後もしっかりと多方面から支援をしていきたいと思っています。

南砺市は人口減少が著しく、多くの課題がある地域だからこそ、横のつながりが強く・地域のために活動している方が大勢いらっしゃいます。市・商工会・地域(ご近所)と多方面から支援できることは地方ゆえの強みだと思っています。

継業の支援において気をつけていることがあれば教えてください。

事業主の方からお話を聞くなかで、事業承継は1社1社抱えている課題が異なることにすぐ気が付きました。まさに十人十色です。継業に関しても第三者へ事業を承継することに対するご家族の反応・理解は全く異なりますし、これだけは譲れないというポイントや事業を続けていきたい理由もそれぞれです。そのため、丁寧かつ本質を見逃さないヒアリングを心がけています。

「経営承継アドバイザー講座」受講の決め手について教えてください。

1社1社課題が異なるなかで、事業承継に関する様々な質問をいただくのですが、大変申し訳ないことに私はコンサルタントや士業の方のように専門的な領域に詳しいわけではないので、税金や法律等の制度に関する疑問に対して答えることができていませんでした。

そこで、事業承継に携わる人間として前提的な知識を持つことは必須であると考え、資格の取得を決めました。

経営承継アドバイザー講座を受講してみていかがでしたか?

経営承継編では経営者との対話事例や具体的な質問集があり、すぐに実践でつかえる内容が多くありがたかったです。これまで継業情報の取材を行った際に、「沿革」のヒアリングが難しいと感じたことがありましたが、講座では「沿革」をヒアリングする際の具体的な質問事例があり、「このように聞けば良かったのか」と納得したことがありました。

また、制度理解編ではまさに私の苦手な税制や法律などについて学び、正直頭が痛かったのですが(笑)、全容は掴めたかなと思っています。同時に専門的な分野については、専門家へ任せようと割り切ることができたので良かったです。私自身の弱みは信頼できる専門家とタッグを組んで解決していき、強みの部分をさらに伸ばしていくことで市への貢献に繋げられると確信できました。

経営承継アドバイザーをどのような方におすすめしたいですか?

今、継業が進んでいる事業所については商工会の経営指導員の方と協力をして支援をしています。経営に欠かせない総務、人事、財務方面について、これまでの数字をもとにアドバイス等をしてくださっていて、とても頼りになる存在です。南砺市には旧町村単位で8つの商工会支部があり、今後は各支部の経営指導員の方とその担当地域の事業所さんを支援していくことになります。事業主の方には何かあればまず商工会へ相談することが多いので、窓口である経営指導員の方にもぜひ経営承継アドバイザーを学んでいただきたいと思いました。そうすれば市の継業は円滑に進んでいくと思います。

協会への要望があれば教えてください。

富山県内でもようやく継業の動きが活発化してきました。今後、全国的に第三者の事業承継事例が多くなってくると思いますので、ぜひ支援者同士の情報共有や学び合いの機会があれば嬉しいです。私も多くの事例から学びたいですし、私自身の事例がお役に立てることもあるかもしれませんので、そのような場作りをお願いできればと思います。

最後に、遠藤さんの今後の抱負を教えてください。

1件案件が進んできたことで、改めて南砺市の魅力や移住を検討している方が大勢いらっしゃることがわかりました。市内には、事業は継続したいけれども後継者は不在だという方はまだまだいらっしゃいます。後継者を第三者に求めていくことは、とても勇気のいることだと思いますが、私たち支援者を信頼してお任せしてもらえるように、さらなる精進と私たちの想いや活動実績をアピールしていきたいと思います。

そして、最終的には継業によって市の事業所がさらに活性化して、若者が魅力を感じるまちづくりに貢献していければ嬉しいです。