合格者の声
VOICE企業地域経済の活性化、社会的課題を解決するプロフェッショナル養成
合格者の声
VOICE2023/07/10
企業経営アドバイザー検定試験合格
電気機器メーカー
宮谷 昂佑さん
2022年12月認定
電気機器メーカーの知財部に所属しており、社内の弁理士として開発部門と連携を取りながら主に特許の創出活動に従事しています。
開発部門からは、製品としてある程度完成されたものについて特許を取得するための相談を受けることもあれば、5~10年先を見据えたアイデアについて相談を受けることもあります。
現職に就いたのは昨年の8月でして、もうすぐ1年が経過するところです。前職は特許事務所に勤務しており、代理人として国内外の企業や大学の特許取得を支援してきました。
特許を取得するには、『発明』を言葉で説明した書類を特許庁に対して提出(『出願』)する必要がありますが、出願しただけで特許を取得できるわけではありません。その『発明』がこれまで世の中に知られていないものなのか(“新規性”があるか)、また容易に思いつかないものなのか、新たな効果が得られるものなのか(“進歩性”があるか)、などの観点で審査されていき、これらが認められたら特許となります。このようなことを支援して特許化することが弁理士の主な仕事となります。
少し話が遡りますが、3~4年ほど前から特許事務所に勤務する弁理士としての仕事に留まらず、幅広く知財に携わりたいと思い、「知的財産アナリスト」の資格を取得したり、知財に限らず経営やファイナンスの勉強をして戦略的経営について学んだりと、少しずつ専門分野を拡げていました。
そんな中、一昨年のコーポレートガバナンス・コードの改定により、知財を含めた「無形資産」の活用を促進して企業価値を向上させようという社会的な動きがあり、代理人という立場ではなく、社内の弁理士として、企業価値の向上に直接携わりたいと思うようになったことが転職を検討するきっかけとなりました。
前職ではあくまで代理人(第三者)として、様々な企業や大学を支援してきましたが、現在は事業会社の中の“当事者”として事業性や開発の方向性を強く意識する必要があります。ある発明について、事業の観点から果たして特許にするべきものなのかを含めて、様々な部門の方々と連携して深く検討できることは、これまでとは違う面白い部分だと感じています。
3~4年前から様々な勉強を始めたというお話をしましたが、知財を取り巻く環境が社会的に変わる中で自分には何ができるかを模索して、公認会計士資格や税理士資格にもチャレンジした経験もありました。
企業経営アドバイザーでは、これらのチャレンジや学びを活かしつつ、事業性評価や経営デザインシートに関する知識を新たに取得できると知り、さらには座学にとどまらず実践の場(対話力向上講習)もあることがわかり、これだと思い受験を決意しました。
法務や財務についてはこれまでの実務経験や知識でカバーすることができましたが、これら以外の生産管理や事業性評価については初めて勉強する分野であったため難しかったです。
学んだ中で、「経営デザインシート」の考え方は知財活動と親和性が高く、実務でも役立っています。知財活動では、自社や他社を含めてどのような技術や知財があるのかを把握しつつ、「お客様へどのような価値を届けたいのか」、「そのためにはどのような知財が足りていないのか」を開発者などと一緒になって考え、知財を創出していきます。まさしく、経営デザインシートにおけるバックキャスティングの考え方を応用することができます。
前職や現職で発明者からヒアリングするという実務経験もありましたので「できるだろう」と思って臨んだのですが、想像以上に難しく悪戦苦闘しました。事前情報をインプットする時間があまり取れなかったのもありますが、シートもなかなか書けなかったり、質問もイエス・ノーで答えられる当たり障りのない内容で終わってしまったりと、自身の課題が多く見つかりました。
現職では経営者と直接対話する機会は残念ながらありませんが、開発部門の管理職の方と対話する機会はありますので、今回のロールプレイでの学びを活かして、相手の意図を把握して、求められている情報をわかりやすく提供できるように意識していきたいです。
まず、『知財のプロ』という軸をしっかりと持ちつつ、今後も活動していきたいと思っています。プラスして企業経営アドバイザーとしての知見を活かして、知財情報を事業の成長に活用できるよう活動していきたいです。
そして、先の話ではありますが、将来的には『スタートアップ企業の経営者と一緒になって事業を育てていく』ということにチャレンジしてみたいと思っています。例えば、金融機関やベンチャーキャピタルに知財を適切に評価してもらうためには、ただ単に特許を取得しているという事実だけでは不十分でして、事業の中でその知財はどのような役割を果たすのかというストーリーを構築して、論理的に説明する必要があります。そこで、私の“知財”と“経営”と“技術”に関する専門知識を掛け算すれば、スタートアップ企業を含む様々な企業に対して新たな価値を提供できるのではないかと考えています。
数年前から、『知財』を重要視して経営に活用していくという風潮が強くなっています。資金力のある大きな会社はアイデアが出たら特許出願してみようというスタンスがあっても良いのかもしれませんが、スタートアップ企業となると資金的にも特許出願できる機会が限られますので、その分一つ一つの知財にかける力の入れようは大きいと思います。将来そのような方々の支援ができれば嬉しいなと思います。
そこに到達できるように今は現職で自身の力量を高めていき、会社の事業成長に少しでも貢献していきたいです。