合格者の声

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2022/03/03

【企業経営】奈良信用金庫勤務 川浪 一晃さん 「経営のベース」を学ぶことで経営者との対話が円滑に。信金職員はぜひトライを!

企業経営アドバイザー検定試験合格
奈良信用金庫勤務
川浪 一晃さん
2019年10月試験合格

「経営のベース」を学ぶことで経営者との対話が円滑に。信金職員はぜひトライを!

まずは川浪さんの現在のお仕事についてお聞かせください。

 

2017年5月に奈良信用金庫に出向し、同年10月から営業店の支店長を務め、2021年7月からは本部に異動となりました。前職の都市銀行では法人専門の部門で中小企業を担当していましたので、これまでの経験を活かせる形で同じ金融業界に第二の職場として移れたことは幸運でした。

7月までは企業の訪問に力を入れて、コロナ禍で経営が傷む会社や以前から経営が思わしくない会社に伴走し、事業の再生等のサポートを行っていました。

十数年前に一度倒産している企業をコンサルタントの先生とともにサポートし、「事業再構築補助金」の認定企業に選ばれたこともありました。少しでも企業のお役に立ちたいという思いで仕事に励んでいます。

中小企業の経営者との対話で心がけていることはありますか?

私自身コンサルティングについて全て理解しているわけではありませんが、全体の流れを理解しているからこそお客様の経営に踏み込んだお話が聞けると思います。

都市銀行でもそうでしたが、信用金庫でもお客様との対話では、融資の話から入っていくケースが多くなりがちです。そうではなく、会社の立ち位置や状況をじっくりと聞き、資金面にかかわらず組織の面であったり、社員さんの教育、次世代の経営幹部の育成といった話をするとお客様からも良い反応が得られます。企業経営アドバイザーで学習した論点がふんだんに活かせていると思います

お客様との対話の姿勢について、御金庫ではどのように若手に指導をしていらっしゃいますか?

まさに悩みながら進めている状況です。

信用金庫の営業店の職員の数も決して余裕があるわけではありませんので、支店長や次長が現場に出ていくことも多くあります。部下と一緒に企業訪問をしてOJTのような形でその都度アドバイスをするなど、部下のスキルアップに務める毎日でした。

奈良県には3つの信用金庫がありますが、そのなかで御金庫の強みは何でしょうか?

まず、当金庫はあと5年ほどで100周年を迎える歴史ある金融機関です。

近年は若手職員のスキルアップに力を入れており、コンサルティング会社にも協力をいただきながら全店の営業推進の職員向けに営業推進のノウハウや、女性の若手職員を中心にライフスタイルに応じた資産運用の提案力がつくように直接指導を受けています。総合的に若手職員の力をつける取り組みを積極的に行っており、これらは他の信用金庫にはない取り組みだと思います。若手の職員がお客様へ積極的に提案できる力をつけることは非常に大切なことです。お客様からも「研修の成果がでていますね。」というお言葉をいただくことがあり、少しずつ(若手職員の)力がついてきていることを実感しています。

現在、多くの中小企業が事業承継の課題を抱えていますが、御金庫では何か取り組みをされていますか?

小さくても業績の良い企業は自社株対策をする必要性が生じることが多々ございます。そこで相続や株価対策に長けている税理士の先生に協力していただき、月に一度営業店の持ち回りで相談会を実施しています。そこに企業のオーナー経営者さんをお連れするなど、事業承継に早めに取り組んでいただけるよう対応しています。

また近畿圏の信用金庫は少し独特で、約30の近畿圏の全信用金庫から役員や支店幹部が定期的に一定期間参集する「近畿しんきん経営大学」という研究会が運営されています。私もそこに2年前に参加し、M&Aやビジネスマッチングを通じ、企業の事業拡大に活かせるノウハウ等を学ばせていただきました。特にM&Aに関しては、広域であれば多彩な情報収集が可能となり、成就する可能性が高くなります。又、地域の商店街の活性化の方法を「まちづくり」で著名な大学教授に教えてもらったこともあり、良い経験をさせていただきました。

「企業経営アドバイザー」を受験しようと思ったきっかけを教えてください。

きっかけは大きく二つあります。

一つは、都市銀行時代に関連のコンサルティング会社へ4年ほど出向していたことがあり、次世代の若手の中小企業経営者が250名ほど集う研究会の事務局として勉強会の企画に携わっていました。毎月実施する勉強会にはコンサルタントや大学の先生などの専門家にお越しいただき、経営に関する様々な学びを得ました。銀行は決算書の数字の部分が中心となりますが、企業経営には人や組織、人材育成などのノウハウが重要であり、私自身もそのような知識を学んで総合的にサポートできるようになりたいと強く思うようになりました

もう一つは、とても印象に残っているエピソードなのですが、都市銀行時代に業績が厳しいある企業を担当しており、審査部門の上席に相談したところ廃業を絡めた対応をしたほうが良いということで、そのオーナー経営者に伝えたのですが、「どうしても続けたい!」と涙ながらに語られたことがありました。そのとき、オーナーはこれほどまでに熱い思いを持って経営をしているのかと、私ももっともっと勉強して少しでもお役に立てる力をつけないといけないと痛感しました。

企業支援に対する川浪さんの熱い想いを感じます。実際に学習をしてみて変化はありましたか?

経営者と対話していくなかで「経営のベース」となる知識を身につけているからからこそ、興味をもって相手の話を聴いて質問できるようになりました。お客様に対して「こういうことが言いたいのかな」とイメージができるようになりましたし、経営者の言っていることがよく分かるようになりました。

事業性評価は、実務ではこれまでも経験していたことですので、おさらいも兼ねて知識の整理ができました。

資格取得をふまえて、川浪さんがこれから取り組んでいきたいことはありますか?

今年56歳になりました。60歳が一つの目処だと思っています。現在務める信用金庫の嘱託職員として再び企業サポートに携われればベストですが、違う勉強をしてみたいという意欲もあります。

奈良のお隣の京都は、私の出身地でもあり、有名企業やベンチャー企業が沢山ございます。又、京都の信用金庫は規模や収益力も全国随一で、私達が見習うべき処が沢山ございます。

中小企業の経営課題の経営資源の補完を行う為に他の地域や企業との連携が避けて通れないとも感じています。私のこれ迄の経験を活かし、その橋渡し役を担えればとも考えています。

色々な可能性がありますので、残りの4年間で更に学びを深めながらじっくり考えていきたいです。

これから「企業経営アドバイザー」を目指す方にメッセージをお願いします。

是非、当金庫の職員を含め、多くの方に挑戦してもらいたいと思っている資格です。

日々私たちが指導をして力をつけてもらうOJTも大事ですが、やはり自ら「経営のベース」を学んで頭の中を整理した上で事業性評価に取り組めば、当然その内容も充実してくると思います。すぐに合格できなくても、学んだことは日常の仕事に活かしたくなるものだと思うので、そうやって学びながら実践を繰り返すことで力をつけていってほしいと思います