【年金】令和7年度の年金額の改定について
DATE25.02.12
先日、厚生労働省から令和7年度の年金額と、令和7年度、令和8年度の国民年金保険料前納額の発表がありました。
令和7年度の年金額改定について(厚生労働省ホームページより)
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今回はこの内容についてみていきたいと思います。
令和7年度の年金額は1.9%引上げに
年金額は、賃金や物価の変動に応じて毎年度改定が行われています。令和7年度の年金額は令和6年度より1.9%引上げされることになりました。
さて、この1.9%引上げはどのように決まったのか、詳しく見ていきたいと思います。
毎年度の年金額の改定率は、物価変動率、名目手取り賃金変動率という指標で決まります。
令和7年度の参考指標とされた物価変動率は2.7%、名目手取り賃金変動率は2.3%でした。現役世代の手取り賃金上昇よりも、物価上昇のほうが上回っている状況です。言い換えれば手取り賃金の伸びが物価の伸びに追いついていない状況です。
このように、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合、年金額は、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率2.3%を用いて改定されることになります。
さらに、プラス改定の年はマクロ経済スライドによる調整(▲0.4%)が行われることになるため、令和7年度は「名目手取り賃金変動率2.3%-マクロ経済スライド調整率0.4%=1.9%」で改定されることになりました。これにより、今年の年金額改定率は、前年度の年金額改定率に1.9%をプラスすることになります。
令和7年度の改定率と老齢基礎年金(満額)の年金額についてまとめると、次のようになります。
年金額は生年月日により異なります。これは、一昨年(令和5年度)の年金額改定率が昭和31年4月2日以後生まれの方と昭和31年4月1日以前生まれの方で異なっていたことによります。年金額の試算を行う際は、生年月日に注意しましょう。
国民年金の保険料は?
令和6年度の国民年金保険料は16,980円でしたが、令和7年度は17,510円、令和8年度は17,920円となりました。2年前納制度があるため、国民年金保険料は、翌年度分も発表になっています。
なお、国民年金保険料は名目賃金変動率に応じて毎年改定されています。
在職老齢年金はどうなる?
厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のことを在職老齢年金といいますが、基本月額と総報酬月額相当額の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止になります。この一定額を支給停止基準額といいます。
令和7年度の在職老齢年金の支給停止基準額は51万円となり、令和6年度の50万円から変更となりました。こちらも、4月分の年金(6月支給分)から変更になります。
なお、今年の年金額改定の資料では、多様なライフコースに応じた年金額の資料も加わりました。厚生年金にずっと加入する方、国民年金にずっと加入する方など、働き方により加入する年金制度は異なります。
それにより、将来の年金額も当然変わってきます。現役世代の方も、ご自身の今後の働き方や将来の年金について考えるうえで参考になる資料となっています。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
令和7年度の年金額改定について(厚生労働省ホームページより)
mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00019.html
社会保険労務士
後藤 朱