【企業経営】商品を売るには物語を語れ(その2)
DATE25.01.07
皆様、こんにちは。資格の学校TACで企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
消費者は物語に共感し、感動します。商品、企業のブランディングを実施する際に「物語性」を重視した考え方をストーリーマーケティングといいます。今回は、ストーリーの構成や条件についてご説明します。
■物語を創る際の前提条件
物語を創る際には、次の3つが必要となります。
- パーパス(理念)
- 顧客への提供価値、独自性(差別化)のポイント
- 象徴的なエピソード
パーパスとは企業の社会的な存在価値や社会的意義のことで、「自社は何のために存在するのか」「その事業をやる理由は何か」といった根源的な問いの答えとなるものです。人々は企業の社会性に共感します。
ビジネスの存在意義を一言で言えば、「顧客への価値の提供」です。自社の顧客への価値を見直します。また独自性があればエピソードにつながりやすく、話題にもなります。
■商品・サービスの物語の構成
商品・サービスの物語の構成は、基本的には次のようになります。
「何らかの目的を持つ主人公が、何か障害にぶち当たる。主人公がピンチになった時、外部の助けが現れて支援を授け、行動を促す。その行動により、主人公は失敗を回避して、成功に至る」
この場合、外部の助けは「自社商品・サービス」となります。
ペルソナ(物語の主人公として架空のユーザーを設定し、動機や価値観など自社が想定している商品・サービスと関連付けた人物像を記述するもの)を設定し、カスタマージャーニー(ユーザーが機会に基づいた提供物を利用する様子を、顧客体験の道のりとして図示したもの)を作成することがありますが、これもストーリーマーケティングの一環と捉えることができます。
一方、企業の物語の材料としては、経営者や創業者の生い立ち・志・理念・キャラクター・従業員の接客方法・コミュニティ活動や社会貢献活動・その会社ならではの制度などがあります。
■マーケティングで有効な物語の条件
マーケティングで有効な物語の条件としては、次のようなものがあります。物語ができたら、それが印象に残りやすいか外部の方を交えてチェックするとよいでしょう。複数案を作ってみて、その中から投票で最も良いものを選ぶというのも有効です。
- その物語に共感するかどうか?
- その物語を人と共有したり、報道したくなるか?
- その物語は社会を良くするものだと思えるか?
- その物語に企業は正当性を持って関与しているか?
- その物語は読み手の何らかの認識を変えるものか?
どんな企業にも、外から見れば共感を生む物語はあるものです。自社には特徴的なものはないと決めつけず、とりあえず外部の方に話をしてみることから始めてみるとよいでしょう。
参考:本田哲也「ナラティブカンパニー」東洋経済新報社
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元