【相続】仏壇・仏具は非課税財産なのだが・・・
DATE24.11.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは、「仏壇・仏具の非課税」です。
仏壇・仏具は非課税財産
世の中の値上がりがますます加速していく中で、仏壇や仏具も、モノによってはかなりの値段となります。
中には100万円を超えるモノも珍しくはなく、これはもう立派な財産と言えるわけですが、相続税の計算では、仏壇・仏具は「非課税財産」であることはご存じの方も多いかと思います。
国税庁HPでも、「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」は非課税であると明記されています。日本の風習や国民感情に配慮する趣旨から、相続税の課税対象から除かれているわけです。
課税対象となる判断は、換金性がポイント
但し、「骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているもの」は課税対象となります。これも、ご存じの方が多いのではないでしょうか。
ただ、一律に○○万円以上などという明確な金額基準はなく、課税対象となるか否かの判断は難しいのですが、一般には、「換金性があるか(※)」がポイントとされています。
※リサイクルショップなどで購入価格を大幅に下回るような値段がつくようなケースは、通常「換金性がある」とは言わない。
ですので、純金製の仏壇・仏具などは、ほぼ間違いなく課税対象でしょうし、(判断の難しい)骨とう的価値のある仏具であれば、「値段がつくのか(売ろうと思えばすぐに売れるのか)」で判断すればよいでしょう。
もっとも、我々が日常的に使用するような一般的な仏壇・仏具であれば、少しくらい高価でもあっても、非課税財産と捉えてよいでしょう。
生前購入が必須
さて、ここで注意すべきは、「生前に購入したもの」であること。死亡してから(その遺産で遺族が)購入した仏壇・仏具については非課税財産とはならず、相続税の課税対象となってしまいます。
なお、死亡後の仏壇・仏具の購入費用は、債務控除の対象となる「葬式費用」とはなりません。ですので、その購入費用は相続財産から差し引くことはできず、節税対策とはならないのです。
節税対策としては「生前購入」が必須なのです。
その仏壇・仏具は、本当に必要?
仮に、生前に仏壇・仏具を、現金100万円で買ったとしましょう。すなわちこれは、課税財産である現金100万円が、非課税財産である仏壇・仏具100万円分に変わったわけですね。
仮に相続税率10%とすれば、相続税の減税効果は10万円(非課税財産100万円×税率10%)となります。
ただ、その仏壇・仏具が実際に(買値である)100万円分の財産的価値があるかというと、それはないでしょう。
相続税の非課税財産となる(=換金性のない)一般的な仏壇・仏具であれば、その換金価値はせいぜい10~20万円程度ではないでしょうか?
つまり、相続税で10万円得しても、正味の財産は80~90万円相当分が減っているわけです。
その仏壇・仏具が、もともと必要と思っていた(買おうと思っていた)ものであれば、生前に購入したことは、十分に意味のあることです。しかし、ただ相続税対策のために、たいして必要でもない仏壇・仏具を無理に購入したのであれば、これはちょっと考えものですね。
目先の節税に囚われずに、しっかり判断したいところです。
未払金は、債務控除の対象外
あと、生前に仏壇・仏具を購入した場合であっても、その支払いがまだ済んでいない場合には、その未払金は債務控除の対象とはならない(※)、すなわち相続財産から差し引くことはできないので、気を付けましょう。
※税金や医療費、生活費等の未払金は債務控除の対象となるが、仏壇・仏具等の非課税財産に係る未払金は対象外。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏