【年金】高年齢雇用継続給付の改正が行われます!
DATE24.11.12
さて、今回は雇用保険の高年齢雇用継続給付に関する改正について見ていきたいと思います。
高年齢雇用継続給付は老齢厚生年金と調整が入る給付金ですから、どのような改正が入るのかはチェックしておきましょう。
高年齢雇用継続給付とは?
高年齢雇用継続給付とは、継続雇用や再就職によって60歳到達時点と比べて賃金が「75%未満」に低下した状態で働き続ける方に対して支給される給付金です。高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金の2種類があります。
60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者が支給対象者で、60歳到達時点で雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あること等の一定の要件を満たした場合に支給されるものです。
この度法改正によって、2025年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率が改正されることになりました。
従来は、賃金の低下率が61%以下の場合、高年齢雇用継続給付の支給率は15%とされていましたが、改正により、2025年4月1日以降に60歳到達する方からは、賃金の低下率が64%以下の場合、高年齢雇用継続給付の支給率は10%に減少します。
なお、「2025年4月1日以降60歳に到達する方」とは、「1965年(昭和40年)4月2日以降生まれ」の方となります。「60歳到達日=誕生日の前日」となります。
年金との調整はどうなる?
高年齢雇用継続給付の支給を受ける方が、特別支給の老齢厚生年金、繰上げ支給の老齢厚生年金の支給を受ける場合、これらの老齢厚生年金については、その一部が支給停止になります。
支給停止額は、現行の高年齢雇用継続給付の支給率の場合、最高で「標準報酬月額の6%」ですが、改正により支給停止額は最高で「標準報酬月額の4%」となります。
改正による影響は?
雇用保険と老齢厚生年金との調整は、65歳前に受け取る老齢厚生年金がある場合に影響が出るものです。
2024年度をもって男性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げが完了し、2025年度以降は男性の老齢年金の支給開始年齢は原則65歳となります。今後特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を迎えるのは、女性のみです。
今回の改正は、今後60歳を迎える方で、働きながら繰上げで老齢厚生年金を受給する方には影響が出てくるところです。繰上げで老齢年金を受け取る方は、自分が高年齢雇用継続給付を受給する可能性があるかどうか、きちんとシミュレーションしたうえで、手続きを行いましょう。
社会保険労務士
後藤 朱