【相続】法的に“死亡”とされるケースとは
DATE24.09.25
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「法的に“死亡”とされるケース」です。
法的に死亡したとみなされる場合も、相続の開始原因
相続は、人の死亡によって開始します。
しかし、災害や事故、行方不明などによって人の生死が分からない状態がずっと続くと、いつまでたっても相続の手続きができません。
すると、いつまでたっても財産を処分することができず、遺された親族等はなにかと困りますよね。
そこで、「自然死亡」だけでなく「法的に死亡とされる」場合も、相続の開始原因となるのです。
それが、失踪宣告や認定死亡といった制度です。
失踪宣告とは
失踪宣告とは、人の生死の不明な状態が一定期間続いたときに、その者の利害関係者の請求によって、法律上死亡したものとみなす制度です。
では、その一定期間とはどのくらいの期間なのでしょうか?
実はこの失踪宣告には、「普通失踪」と「危難失踪 ※」とがあるのですが、それぞれによってその期間は異なります。
※特別失踪とも言う
- 普通失踪
行方不明者の生死が7年間不明な場合、その7年が経過したときに死亡したものとみなされます。なお、その生死不明の原因はとくに問われないので、「ある日突然、理由もなく家を出て行った」でもかまいません。
この場合、家を出て行ってから7年間経てば、失踪宣告の申立てができます。
- 危難失踪
危難に遭遇した者の生死が、その危難が去った後1年間不明な場合、その危難が去ったときに死亡したものとみなされます。
ここでいう危難とは、民法では「戦地に臨んだ」「沈没した船舶の中に在った」などが記載されていますが、その他にも「断崖から転落した」「乗っていた飛行機が墜落した」「雪崩に巻き込まれた」などが想定されます。
認定死亡とは
認定死亡とは、災害や事故などによって死亡が確実である場合の制度です。
死亡が確実であるにもかかわらず、遺体が発見されない(できない)ときに、戸籍に死亡の記載がおこなわれるものです。
ただ、認定死亡はあくまでも、死亡が「推定」されるにすぎません。
ですので、死亡したと推定された人が実際には生存していた場合には、その事実を証明するだけで戸籍上の死亡を覆すことができます。
その場合、当然ながら相続によって得た財産は、原則として返却しなければなりません。
一方で失踪宣告では、死亡したものと「みなされる」こととなります。
ですので、死亡したとみなされた人が実際には生存していた場合でも、その事実を証明するだけでは死亡の効果を覆すことができません。
死亡の効果を覆すには、あらためて失踪宣告の取消しの手続きを取らなければいけないのです。
すなわち、失踪宣告の方が手続的にはより安定的なものと言えるでしょう。
ちなみに、認定死亡は戸籍法を根拠とし、失踪宣告は民法で定められた制度となっています。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏