ごえんをつなぐコラム

【企業経営】集団になると個人は手抜きする

DATE24.09.04

皆様、こんにちは。資格の学校TACで企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも1人あたりの努力の量が低下します。これを社会的手抜きといいます。

今回は、社会的手抜きが生じる原因と対策について取り上げます。

■集団になると人はどれくらいさぼるのか?

フランスの学者リンゲルマンによると、綱引きをした場合、チームに参加する人数が増えるにしたがって次のように1人の綱を引っ張る力は減少していき、8人になると実に半分以下となるとされています。

 

2人:93%

⇒3人:85%

⇒4人:77%

⇒5人:70%

⇒6人:63%

⇒7人:56%

8人:49%

 

よく、神輿を担ぐのは2人、担いでいるふりをしているのが6人、ぶら下がっているのが2人などと言われますが、このイメージです。

このように集団の人数が多くなるほど1人あたりの努力が低下することを、リンゲルマン効果と言います。

■社会的手抜きの原因

社会的手抜きの原因としては、次のようなことが指摘されています。

  1. 評価可能性
    1人1人の集団への貢献が適切に評価できない。
  2. 努力の不要性
    周りが優秀なので自分が努力しても集団の成果に影響を与えない。
  3. 手抜きの同調性
    他人がサボっているなら自分もサボる。
  4. 緊張感の低下
    集団の中にいると当事者意識がなくなり緩んでしまう。
  5. 注意の拡散
    他人に気を取られて自分のことに注意がいかなくなり、自己意識が低下して目標を意識しなくなる。

■社会的手抜きはどうすれば防げるか?

では社会的手抜きはどうすれば防げるのでしょうか。基本的には、上記の「社会的手抜きの原因」を解消するという方向性になります。

  • 個人の役割分担をはっきりさせる(評価可能性)。
  • 何らかの形で個人の貢献を測れるようにする。難しい場合は議事録等を用意し公表する(評価可能性)
  • 多様な能力を持った手抜きをしない人材を揃える(努力の不要性・手抜きの同調性・緊張感の低下)。
  • 集団のリーダーがみんなの貢献を引き出すような指導力を発揮する(手抜きの同調性・緊張感の低下)。
  • 集団間での競争を促すような環境を整備してメンバーのやる気を高める(緊張感の低下)。
  • メンバー間で良好な人間関係を築く。あるいは最初から人間関係が出来ている人を揃える(評価可能性・緊張感の低下)。
  • 全体の時間を区切ったり、1人1人の発言の時間を確保したりする(注意の拡散)。
  • 全体の人数をあまり多くしない(評価可能性・緊張感の低下・注意の拡散)
  • 能力の低い人には要求レベルが低い課題を用意したり、能力が高い人がサポートしたりする(努力の不要性)。

 

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

 

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