【企業経営】心理的安全性を確保する(その2)
DATE24.08.05
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
前回、組織が成長するためには心理的安全性(対人リスクを恐れずに思っていることを気兼ねなく発言できる、話し合える状態)を確保することが必要だということを取り上げました。また、心理的安全性を測るための4つのチェックポイントを示しました。
今回は、それぞれのチェックポイントの具体的な内容と対処法について取り上げます。
■部下が「自分は無知だと思われる不安」を感じていないか?
部下が「うかつに下手なことを言ったら馬鹿にされるんじゃないか」といった恐れや不安を感じていると、積極的な発言や行動が起こりにくくなります。
<対処法>
どんな内容の質問をしても大丈夫だと積極的に伝え、質問することそれ自体が素晴らしいという雰囲気をつくります。「こんなことも知らないの?」といった発言は控える必要があります。
■部下が「自分は無能だと思われる不安」を感じていないか?
部下が、上司から「こいつは大したことがないな」と思われることを恐れていると、発言することに消極的になったり、自分の失敗を周りに隠してしまったりするようになります。
<対処法>
失敗を恐れず、自分がやりたいことに挑戦してもいいんだと思える環境を整備するとよいです。
敢えてメンバーたちに自分の失敗経験を共有してもらい、そこから共に学び成長していく場を作ることで、失敗が悪なのではなく、失敗を隠すことや失敗から学ばないことが悪なのだということを感じてもらうようにします。
■部下が「自分は邪魔だと思われる不安」を感じていないか?
部下が「こんなことを言ったら水を差してしまう」と思うと、チームの議論を遮らないよう発言を控えてしまうようになり、せっかく浮かんだアイディアの提案まで控えられてしまいます。
<対処法>
たとえ部下が議論を止めてしまったとしても、意見が生まれたこと自体を良しとする風土・環境を整えることが有効です。部下の発言をなかったことのように振る舞ったり、「それで?」「何が言いたいの?」といった言葉を投げかけたりするのは控えるべきです。
■部下が「自分は批判的だと思われる不安」を感じていないか?
部下が「会社(部署)の方針に反対すると、何でも批判する人物だと他の人から思われてしまうのではないか」という恐れを抱くと、無思考なイエスマンになる恐れがあります。これが部署全体に蔓延すると、筋の悪い意見が通ってしまったり、効果が見込めない業務がダラダラと継続されたりすることになります。
<対処法>
部下が、自分の意見を素直に言ってもいいんだ、人と違っても良いのだと思える環境をつくることが望まれます。「決定には従うべきだ」「うちのやり方だから」という発言は控えるべきです。
参考:エイミー・C・エドモンドソン「チームが機能するとはどういうことか」英治出版
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元