【相続】事実婚のパートナーは、遺産を受け取れるのか?
DATE24.07.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは「事実婚の相続」です。
事実婚とは?
事実婚とは、正式に婚姻届を提出してはいないものの、夫婦のように生活している関係をいいます。
一般には、婚姻の意思があり、同居しており(住民票が同一)、生計を同一にしていれば事実婚として認められるケースが多いようです。
いわゆる内縁関係とも呼ばれ、事実婚のパートナーは「内縁の夫・妻」とも言われます。
社会保険では法律婚と変わらない
この事実婚は、多くの場合において、婚姻届を提出している法律婚と扱いは変わりません。
たとえば社会保険制度では、事実婚のパートナーは健康保険の被扶養者になることができますし、国民年金の第3号被保険者となることもできます。
また、一定要件を満たせば遺族年金の受給者となることもできます。
相続人になることはできない
しかし相続においては、事実婚は法律婚とは明確に区別されています。
民法における配偶者相続人となるには、婚姻届を提出していなければなりません。
すなわち、事実婚のパートナーは相続人となることができず、遺産を相続する権利はないのです。どれだけ長く、仲良く、夫婦同然に暮らしていたとしてもです。
ですので、事実婚のパートナーに遺産を遺すためには「パートナーに財産を遺贈する」旨の遺言書を書いておくなどして、しっかり対策をしておく必要があるわけです。※
※他にも、死因贈与契約を結ぶ、パートナーを保険金の受取人にする、特別縁故者(被相続人と特別な関係にあった者で、法定相続人がいないときに遺産を取得できる者)の申立てをする、などがあります。
税制上では事実婚は不利に・・・
あと、事実婚で注意すべきは、事実婚のパートナーは税制上の特典を受けることができないということです。
税制においても、事実婚は法律婚と明確に区別されているのです。
たとえば、事実婚のパートナーは「相続税額の2割加算」の対象となります。
相続税額の2割加算とは、「被相続人の配偶者および1親等の血族(その代襲相続人含む)」以外の者は、相続税額が2割アップすることです。
ここでの配偶者とは、法律婚でなければいけません。
すなわち、遺産を取得して相続税が課せられる場合、法律婚の配偶者には「2割アップ」はありませんが、事実婚のパートナーには「2割アップ」があるのです。
また、事実婚のパートナーは、相続税の計算における「配偶者の税額軽減」や「生命保険金・退職手当金の非課税額」、さらには「小規模宅地等の評価減の特例」「障害者控除」といった特例も使うことができないのです。
※各特例の詳細は割愛します。
ちなみに、所得税・住民税の計算においても、事実婚のパートナーには「配偶者控除」「配偶者特別控除」といった控除を適用できないことにも注意が必要です。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏