ごえんをつなぐコラム

【年金】財政検証が公表されました

DATE24.07.12

年金制度は5年に1度、財政検証が行われます。

今年はその5年に1度の財政検証が行われる年で、7月3日、厚生労働省から令和6(2024)年財政検証結果が公表されました。

財政検証とは、年金財政の健全性を検証するために行われる、年金制度の健康診断のようなものです。
今回、簡単ではありますが財政検証の概要を簡単にまとめてみます。

財政検証とは何か?

財政検証では、年金財政の今後の見通しや、マクロ経済スライドの調整期間の終了年度の見通しが公表されます。

※「マクロ経済スライド」とは、現役世代の保険料負担能力と平均余命の伸びを勘案して設定されたスライド調整率を年金額の改定率から差し引くことで年金額を調整する仕組みです。この調整が行われる「調整期間」は平成17年度から開始されています。調整期間において年金額を計画的に調整することで、将来年金を受け取る世代の給付水準を確保することにつながります。

今後の見通しを作成するにあたっては、人口や経済状況の変化に幅広く対応した複数のパターンが設定されています。

今回の経済の前提は、以下の4パターンで試算が行われました。

①高成長実現ケース
②成長型経済移行・継続ケース
③過去30年投影ケース
④1人当たりゼロ成長ケース

 

出典:「令和6(2024)年財政検証結果の概要」厚生労働省

 

厚生労働省によると、今回の財政検証は、前回の令和元年の財政検証時よりも将来の見通しが改善されているということです。

被用者年金の適用拡大により、厚生年金保険の被保険者となる人が増えたことで、年金制度の支え手が増加し、被扶養者が減少したこと等がプラスの要因に寄与しています。

先ほどの経済前提の「①高成長実現ケース」では、調整期間終了は15年後の2039年、所得代替率は56.9%という見通し、「②成長型経済移行・継続ケース」では、調整期間終了は13年後の2037年、所得代替率は57.6%という見通しです。

なお、所得代替率とは、現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率により表されるものです。
この財政検証の結果に基づき、今後の年金制度改正についても議論されていきます。今後の動向から目が離せません。

財政検証の資料はとても膨大な量ですが、年金検定を受験する方にはぜひ一度、目を通してみていただければと思います。資料は下記厚生労働省のホームページを参照してください。

将来の公的年金の財政見通し(財政検証) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

社会保険労務士
後藤 朱

一覧に戻る