【相続】亡くなった人が「入っていた」保険についての勘違い
DATE24.06.24
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、亡くなった人が「入っていた」保険についての勘違いです。
「入っていた」ことだけを知っていてもダメ
亡くなった人が、何らかの生命保険に「入っていた」可能性は高いかと思います。
しかし、保険に「入っていた」ことだけを知っていても、その契約形態までしっかり把握していないと、それが誤解や勘違いを生んで不利益やトラブルの元となってしまう恐れがあります。
この「入っていた」とはあやふやな表現でして、まずはその契約の「契約者」「被保険者」「受取人」が誰なのかを、しっかり確認する必要があります。
契約者であり、被保険者ではなかった場合
亡くなった人が生命保険に「入っていた」のなら、多額の死亡保険金を受け取れると思い込んでいる人もいるかもしれません。
しかしそれは、亡くなった人が「被保険者」だったときです。
被保険者とは保険の対象となっている人のことで、その人が死亡したとき(定期保険や終身保険などの死亡保険では)死亡保険金が支払われます。
しかし、死亡した人が保険に「入っていた」からと言って、その人が「被保険者」であるとは限りません。
死亡した人は「契約者(※)」として保険に入っていて、「被保険者」は別の人である契約形態も十分にあり得るのです。
※契約者とは保険会社と契約を結ぶ人のことで、基本的には保険料を負担する人のこと。
たとえば、Aさんが死亡した場合においては以下のような契約形態です。
契約者 :Aさん
被保険者:Aさんの妻
受取人 :Aさん
上記のような場合、死亡したAさんが保険に「入っていた」からといっても、死亡保険金は出ません。
死亡保険金が出るのは、被保険者であるAさんの妻が死亡したときなのです。
なお、契約者であるAさんが死亡した場合には、保険契約そのものが相続財産(解約返戻金相当額が評価額)となるので気を付けましょう。
死亡保険金が出るのは、被保険者であった場合
亡くなった人が「入っていた」保険から死亡保険金が出るのは、その亡くなった人が「被保険者」であった場合です。
たとえば、Aさんが死亡した場合においては以下のような契約形態です。
契約者 :Aさん
被保険者:Aさん
受取人 :Aさんの妻・子など
上記の場合、Aさんは「契約者」であり「被保険者」でもあるわけですが、実際にはこのような契約形態が多いのではないでしょうか?
いわゆる「Aさんは家族のために保険に入っている」という、一般的なケースですね。
そしてこの場合、受取人が受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象(※)となります。
※受取人が相続人の場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用される。
他にも、Aさん死亡時において死亡保険金が出るケースとしては、以下のような契約形態が考えられます。
契約者 :Aさんの妻
被保険者:Aさん
受取人 :Aさんの妻・子など
契約者(基本的には保険料負担者)はAさんの妻ではありますが、被保険者はAさんですので、この場合にもAさん死亡時には死亡保険金は出ます。
ただ、この場合受取人が受け取る死亡保険金は、相続税の対象ではなく以下のようになります。
受取人=契約者(上記ケースだと、Aさんの妻) ⇒所得税(一時所得)・住民税
受取人≠契約者(上記ケースだど、Aさんの子など)⇒贈与税
「保険に入っていた」は、あやふやな表現
一口に「保険に入っていた」といっても、その契約形態によって相続発生後の扱いは大きく変わってきます。
ですので、いざ相続が発生したときには(というか、相続が発生する前段階から)、「保険に入っていた」というあやふやな表現のままにしておくのではなく、早めにしっかりと、その詳細を把握しておきたいものですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏