【相続】今年4月1日からの、相続の大きな改正
DATE24.05.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、今年4月1日から施行された「相続登記の義務化」です。
【所有者不明の土地の総面積は、九州以上!?】
所有者不明の土地とは、不動産登記簿を調べても、その所有者がハッキリと分からない、また、分かっていても連絡が取れないような土地のことです。
日本には、そんな所有者不明の土地がたくさんあって、その総面積はなんと、九州以上なのです。
所有者不明のままだと、売却をしたり、担保として利用したりすることができず、不動産取引に大きな支障をきたすこととなります。
今、そんな所有者不明の土地は増え続け、その総面積は、2040年には北海道に迫るとも言われています。
その大きな要因として、「相続登記がなされていない」ことが挙げられるのです。
【相続登記は、義務ではなかった】
相続登記とは、死亡した人の不動産の名義を、その不動産を相続した人の名義に変更するための手続きです。
この相続登記をすることで、不動産登記簿上の所有者は、新たにその不動産を取得した人となるのです(相続登記をしないと、不動産登記簿上の所有者は、ずっと死亡した人のまま)。
ただ、これまでは、この相続登記は義務ではありませんでした。
相続登記には、一定の費用(登録免許税や司法書士等への報酬等)がかかり、また、諸々の書類を準備する必要があるなど、手間もかかります。
また、相続登記をしなくても、売却や担保提供などをしない限り、日常生活にはとくに支障はないことから、相続登記をしないままにしている人が多かったのです。
【知ったときから、3年以内!】
ただ、今は支障はなくても、前述のとおり、いざ、売却をしたり、担保として利用したりするときには大きな支障をきたすこととなります。
また、相続登記をしていない状態を長年放置している間に、相続人が死亡することで、その死亡した相続人の権利を引き継ぐ人が増えていき、非常に面倒なことになってしまう可能性もあるわけです。
そして国としても、公共事業などが行いづらくなるというデメリットもあります。
そこで、これはマズいということで、2024年4月1日から「相続登記の義務化」が導入されたのです。
これにより、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければいけなくなりました。正当な理由なく、この義務に違反した場合は最大10万円の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があるのです。
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、相続においては、これは非常に大きな改正だと言われています。
【2024年4月1日以前に発生した相続も対象に!】
さて、今回の改正で最も注意すべき点は、「2024年4月1日以前に発生した相続」であっても、この改正が適用されるということです。
すなわち、2024年4月1日以前に発生した相続についても、まだ相続登記をしていない場合には、2024年4月1日から3年以内に相続登記を申請しなければいけないのです。
すなわち、今回の改正は、非常に多くの人に、直接、影響があるのです。
ですので、過去に相続した不動産がある場合には、必ず不動産登記簿を確認しておきましょう。
もし、相続登記をしていなければ、相続登記をしなければいけないのですから。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏