【企業経営】商品開発のアイデアの探り方(エスノグラフィー調査)
DATE24.04.08
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
前回は、顧客の潜在意識を探るための方法として、デプスインタビューを取り上げました。今回はエスノグラフィー調査を取り上げます。
■商品の意外な使われ方に注目する
ユーザーは、ときに売り手の想定とは異なる用途で商品を使っていることがあります。たとえば、以下の事例が当てはまります。
・ファブリーズは、はじめ衣料用消臭スプレーとして販売したが、部屋の臭いを気にする人たちが使っていた。
・マスキングテープは、工事用用途であったが、色が多彩で比較的剥がれやすいので、アート目的にも使われている。
・乳幼児用に販売した紙おむつは、意外と高齢者も使っていた。
このような意外な使われ方に注目すると、商品開発やリ・ポジショニングのアイデアが生まれます。また、実際に商品が使われている場面を観察することで、ユーザー自身が気がついていないようなニーズ(潜在ニーズ)を掘り起こすことができるかもしれません。
■エスノグラフィー調査とは
エスノグラフィー調査とは、対象となる人の生活の現場に実際に赴き、現場に入り込み、話を聞くだけでなく、行動やしぐさ、周囲の人の観察を通じて対象を理解するというものです。もともとは文化人類学や社会学のフィールド調査で用いられてきました。
商品開発の場では、開発者が実際に商品が使われている場に出向き、ヒアリングしたり、使われ方を観察したりして、潜在的なニーズを掘り起こすことをいいます。
自動車や自動車関連商品の場合であれば、「自宅でのインタビューに加えて車に乗せてもらう」「乗車中や乗車後にインタビューする」「訪問先の許可が得られれば、ディーラーや整備工場など、対象者が普段付き合いのある場所に同行する」といったことです。
産業財の場合であれば、オフィスや工場など生産現場を訪問し、ヒアリングしたり、使用状況を観察したりします。
■エクストリームユーザーに注目する
エスノグラフィー調査では、新しい機会につながる示唆を得られるかどうかを重視して対象者を選定します。「極端に多く、あるいは高頻度で使っている人」「行動の継続期間が長い人」「現状ではまだ一般的になっていないことを、こだわりをもって時間とコストをかけて実践している人」をエクストリームユーザーといいます。エクストリームユーザーは、商品に対して深い知見を持っているでしょうから、そのようなユーザーを調査対象者にすることが有効です。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元