ごえんをつなぐコラム

【相続】養子になれば、ダブルで相続できる!

DATE24.03.21

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回は、養子の相続がテーマです。

 

【意外と身近な、養子縁組】

養子縁組とは、実の親子でない人の間に、法律上の親子関係を生じさせる制度です。

すなわち、養子縁組をすることで、血はつながっていなくても、親子になれるわけですね。

養子縁組によって法律上の子となった人を「養子」、そして親となった人を「養親」と言います。

ちなみに、実の子を「実子」、実の親を「実親」と言います。

養子縁組をするには、「養親は20歳以上」「年少者が年長者を養子にはできない」などの要件はありますが、いずれも、さほど厳しい要件ではなく、また、費用もほとんどかかりません。

国内での養子縁組は、年間8万件程度です。

養子縁組のことは知っているけど、自分とは関係ないよと思っている人も多いかもしれませんが、意外と身近な制度と言えるかもしれませんね。

 

【相続権は、実子も養子も同じ】

養子縁組では、血のつながりがなくても、法律上は親子関係が生じるわけですから、当然、相続権も発生します。

そして、その相続権については、実子と変わりません

すなわち、養親が死亡すれば、養子は実子と同じく、養親の「第1位の血族相続人」として相続人となります。そして、実子と養子の法定相続割合に差はないので、「子の相続分」を、実子と養子で均等に分け合うことになります

ですので、養親に実子がいる場合には、相続トラブル防止のためにも、養子に行く先とは事前にしっかり話し合っておきたいものですね。

 

【ダブルで相続】

それでは、養子に行った人は、その実親との関係はどうなるのでしょうか?

これは誤解が多いところで、「養子に行ったのだから、実親との関係は切れてしまう」と思っている人が多いのです。

いえ、養子に行っても、実親との親子関係は継続します。

なので、養親だけでなく、実親の相続人にもなるのです。

すなわち、養子に行った人は2組の親を持ち、その2組の相続人となることから、今回タイトルは「ダブルで相続できる」なのです。

 

【ダブル、トリプルも・・・】

また、1人が複数の人と養子縁組をすることもできます。

たとえば、Aさんが、Bさんの養子となった後で、さらに、Cさんの養子になることもできるのです。

その際、Bさんとの養子縁組を解消する必要はありません。

この場合、Aさんは実親の相続人であることに加えて、養親Bさんの相続人に、さらには養親Cさんの相続人になるのです。

ダブルで相続どころか、トリプルで相続ですね。

このように、複数の養親を持つことは問題ないので、法的には、トリプル以上の可能性もあるわけです。

もっとも、親子関係(相続関係)が増えるほど、相続トラブルの元も増えるわけですから、養子縁組に際しては、養子先とは、しっかり話し合う必要があることは言うまでもありませんが。

 

【特別養子縁組とは】

ところで、養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。

実は、ここまで説明してきた(実親との親子関係が続く)のは「普通養子縁組」であって、「特別養子縁組」では、実親との親子関係は終了し、実親の相続人にはなりません(養親のみの相続人となる)。

ちなみに、特別養子縁組とは、様々な事情によって、実親が育てられない状況における養子縁組制度です。

ただ、特別養子縁組は、養親や養子の年齢要件等を満たしたうえで、家庭裁判所が「子の利益のために特に必要である」と認めた場合に限られています。

ですので、年間700件程度と、普通養子縁組に比べて極めて少ないのが現状です。

 

とはいえ、相続関連資格の試験では、「養子(普通・特別)の相続の違い」は、よく問われるポイントでもあるので、知識としては、ぜひ知っておきたいものですね。

〇普通養子縁組:実親との親子関係は継続(養子は、養親・実親の相続人となる)

〇特別養子縁組:実親との親子関係は終了(養子は、養親のみの相続人となる)

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

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