ごえんをつなぐコラム

【企業経営】商品開発のアイデアの探り方(デプスインタビュー)

DATE24.03.04

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。

前回は、これまでにない新たな用途や価値につながる情報を得るためには、顧客の潜在意識を探る必要があることについて触れました。今回は、顧客の潜在意識を探るための方法として、デプスインタビューを取り上げたいと思います。

 

デプスインタビューとは、1人の対象者に対して価値観や利用動機・購買動機について深くインタビューするというものです。背景にある対象者の意識や本音を明らかにすることで、商品やサービスの開発、リ・ポジショニングに活かすことができます。

 

質問の流れは以下の①~④のとおりです。

①製品や製品にまつわる分野全体について

対象となる製品や、その製品のカテゴリー全体に対して思いついたことや感じたことを自由に語ってもらう。

②製品に関する基本情報

使用銘柄や使用頻度、購入のきっかけ、購入時に重視するポイントなどを訊く。その行動を掘り下げていくことで深層心理下の感情を明らかにしやすくなる。

③製品とのかかわり

はじめてその製品を使用したときの様子やその気持ち、今までで一番良かった、あるいは悪かった使用経験などを聞いていく。過去の経験が現在の意思決定や行動に影響を与えている可能性が高いので、詳細に掘り下げていく。

④モチベーション・リサーチ的な(深層心理を引き出す)質問

対象となる製品や会話の流れ次第では、「この製品を人に例えるとどのような人だと思うか?」、「この製品を利用している人はどんな人だと思うか?」、「自分がその製品であればどう思うか?」など、思いがけない質問を投げかけることで対象者に軽い驚きを与え、深層心理を引き出しやすくできる。

参考:学習院マネジメント・スクール監修『買い物客はそのキーワードで手を伸ばす』ダイヤモンド社)

 

前回、「ただ水を加えるだけのケーキミックスが売れなかったのは、あまりに手軽過ぎて自分が手を抜いたと思われたくなかったから」という事例を取り上げました。もし事前に「楽はしたいが少し手は加えたい」という複雑な主婦の心理を把握していれば、最初から適切な商品を開発できたでしょう。

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

 

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