ごえんをつなぐコラム

【相続】新NISAで、株や投資信託を始めたら・・・?

DATE24.01.29

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回は、株式や投資信託の相続がテーマです。

 

【新NISA、いよいよスタート!】

2024年1月より、新NISAがスタートしました。

ご存じの方も多いかと思いますが、NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、運用収益が一定範囲まで非課税となる制度(※)です。

※本来であれば、配当金や売却益などの運用収益には約20%の税金がかかる

 

新NISAの内容をザックリ説明すれば、「年間360万円(生涯で1,800万円)」までの投資であれば、そこからの配当金や売却益などは、「無期限」に非課税となるのです。

これは従来のNISAに比べて大幅にパワーアップしており、今、この新NISAをきっかけに投資を始める人が増えています。

 

そして、新NISAの投資対象となるのは、株式や投資信託です。

当然、死亡した人が株式や投資信託を保有していれば、それらは相続財産となります。

すなわち相続の視点からは、新NISAの普及により、今後、株式や投資信託を相続するケースが増えるであろうことも意識しておきたいものですね。

 

【上場株式はちょっとお得?】

まず株式についてですが、NISAで投資対象となるのは、上場株式(※)です。

※証券取引所で自由に売買できる株式のことで、一般に株式投資と言う場合、この上場株式のことである

 

この上場株式の相続財産としての評価額は、以下の①~④のうち、最も低い価額となります。

① 相続開始日の最終価格
② 相続開始日の月の毎日の最終価格の平均額
③ 相続開始日の月の前月の毎日の最終価格の平均額
④ 相続開始日の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

仮に、①200円、②250円、③150円、④100円であれば、その評価額は④100円となります。

 

つまり、株価の動きによっては、上記ケースのように、相続発生日(死亡時点)の価額よりもかなり低く評価される可能性もあるわけです。

基本的には、相続財産の評価は「死亡時点の価額」ですから、上場株式はちょっとお得と言えるでしょう。

そんな相続の視点から、株式投資を考える人もいるかもしれませんね。

 

【投資信託はどうなの?】

そして、投資信託の相続財産としての評価額は、基本的には以下の通りです。

 

相続発生日の1口あたり基準価格×口数-源泉徴収税額-信託財産留保額(※)等

※相続発生日に解約した場合にかかる金額

 

なんだかややこしい計算式ですが、要は、相続発生日(死亡時点)で解約した場合の手取り額のことです。

そうです。投資信託の評価額は、相続財産評価の基本通りに「死亡時点の価額」であって、上場株式のように、死亡時点の価額よりも低く評価される可能性はないのです。

相続の視点からは、投資信託よりも、上場株式の方が少し有利と言えますね。

 

ちなみに、投資信託とは、多くの投資家から集められた資金を1つにまとめ、運用会社が株式や債券などに分散投資をする商品です。

いわゆる「詰め合わせ商品」とも言われ、「単品買い」である株式投資に比べて、リスクは低いとされます。

また、運用のプロに「銘柄選び・投資タイミング」を任せることができるので、投資初心者は、(相続の視点からは上場株式の方が有利とはいえ)まずはこの投資信託を検討することをお勧めします。

 

【ETFとは?】

追加で、ETFについても触れておきましょう。

ETFとは上場投資信託のことで、その名の通り、上場株式と同じように、証券取引所で自由に売買できる投資信託のことです。

そして、このETFの相続財産としての評価額は、前述の上場株式と同じ扱いとなります(つまり、相続発生日(死亡時点)の価額よりも低く評価される可能性がある)。

また、ETFの運用成績は、日経平均株価等の指標に連動するように設計されており、その値動きは分かりやすいのが特徴です。

 

株式や(上場していない一般的な)投信信託と比べて、ETFの種類は限られてはいますが、投資の選択肢の一つとして、知っておいて損はないでしょう。

 

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

《著書紹介》

2023年12月末に、相続コラムの執筆者である藤原先生が『はじめてでもカンタン!新しいNISA超入門』(スタンダーズ)を出版されました!

NISAの概要はもちろん、株や投資信託の説明、選び方など、「投資のやり方」について漫画とイラストをふんだんに使って分かりやすくまとめられています。

新NISA(を利用しての投資)に興味をお持ちの方は、ぜひ、チェックしてみてください!

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