ごえんをつなぐコラム

【相続】[ノリスケが波平の相続人となる可能性はあるのか?]

DATE23.09.25

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回は、あの国民的漫画「サザエさん」を題材に、相続人のルールの基本について書いてみたいと思います。

 

【ノリスケが相続人となる可能性はある】

タイトルの「ノリスケが、波平の相続人となる可能性はあるのか?」ですが、結論から言えばいくつかの条件を満たせば、ノリスケが相続人となる可能性はあります。

ちなみに、ノリスケは波平の甥です。

実際、ノリスケは波平のことを「おじさん」と言っていますよね。ただアニメ中では、あまりこの関係性には触れられていないので、意外と知らない人は多いです。

もう少し詳しく言うと、波平には兄(海平)と妹(なぎえ)がいて、その妹(なぎえ)の子がノリスケなのです。ここまで知っている人は、相当なサザエさんマニアですね。

なお、波平の妻はフネで、子供はサザエ・カツオ・ワカメの3人ということは、ほとんどの人はご存じかと思います。

少し話がそれてしまいましたが、それではノリスケが相続人となるための条件とは、いったいどのような条件なのでしょうか?

 

【ノリスケが相続人となるための条件とは?】

 それは、まず波平の子供であるサザエ・カツオ・ワカメが、皆、相続放棄(※)をしていることです。

相続人の判定において、血族第1順位である子が全員放棄をすれば(子が全員相続人でなくなれば)、相続権は第2順位である直系尊属に移ります。

ただ、波平の直系尊属(波平の両親や祖父母等)は、おそらく他界しているでしょうから、相続権は第3順位である兄弟姉妹に移り、この場合海平となぎえが相続人となります。

さらにそのうえで、なぎえがすでに死亡している場合に、なぎえの相続権をノリスケが引き継ぎ(代襲相続)、ノリスケが相続人となるのです。なお、なぎえが相続放棄をした場合には代襲相続は発生しないので、ノリスケは相続人とはなりません。

(※)参考

【ノリスケの相続分は、8分の1※】

このように、被相続人の甥(もしくは姪)が相続人となるケースは、決して珍しくありません。

ちなみに、今回のケースでは相続人はフネ・海平・ノリスケの3人となり、その法定相続分は以下の通りです。

フネ:4分の3
海平:8分の1
ノリスケ(なぎえの代襲相続人):8分の1※

血族相続人が第3順位の兄弟姉妹の場合の相続分は、配偶者は4分の3で、残り4分の1を兄弟姉妹2人で均等に分けるので、ノリスケは、(ノリスケの母である)なぎえの相続分を受け継ぎ、8分の1なのです。※

ノリスケは、普段から波平やフネともよく会っており、かなり親しい関係のようで(というかノリスケが馴れ馴れしい)、おそらく遺産分割協議もスムーズにいくでしょう。

しかし、甥や姪と疎遠にしている人は多いかと思います。

疎遠な者同士だとお互いの事情を慮ることなく、ズケズケと権利を主張して、トラブルとなる可能性は高いので、(ノリスケと違って)疎遠な甥や姪が相続人となる可能性が高い場合、これは要注意ですね。

※アニメ版ではノリスケは5人兄弟のため、なぎえの法定相続分8分の1を兄弟姉妹5人で均等に分けることになり、実際の相続分は40分の1となりますが、今回のコラムでは、わかりやすくするためにノリスケに兄弟はいないものとして計算しています。

 

【身近な家族でイメージを】

今回の論点は、相続人の範囲相続放棄、代襲相続、法定相続分と、いずれも基本事項ながらもそれなりに論点は多かったと思います。しかしサザエさんを題材にしたことでイメージはしやすかったかと思いますが、いかがでしたでしょうか?

実際、相続関係の講義やセミナーでは、サザエさんを題材に説明する講師も少なくありません。

サザエさん以外にも、「クレヨンしんちゃん」「ちびまる子ちゃん」なども定番です。

このように相続については、身近な家族に当てはめればイメージしやすいわけですが、一番身近な家族は、もちろん自分自身の家族ですよね。

様々な相続の論点を、自身の家族に当てはめることができればイメージしやすいどころか、そのリアル感は相当なものでしょう。

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

一覧に戻る