【相続】相続トラブル、よくある3つの要因とは?
DATE23.07.25
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
年々増加する相続トラブルですが、その要因は家族関係や相続財産などによって、実に様々です。
ですので、相続トラブルをまとめた冊子やサイトなどでも「相続トラブル10選!」とか、「相続で揉める30事例」だとか、やたらとそのパターンが多いわけです。
それこそ100の相続トラブルがあれば、100の要因があると言ってもよいでしょう。
しかし、「よくある要因」に集約すれば、その数はかなり絞り込めます。
そこで今回は、相続トラブルの現状をザックリと知りたい人のために、相続トラブルでよくある要因を徹底的に絞り込み、3つの要因に集約しました。
1.財産に不動産が多い
不動産は、現金のようにスッキリ分けることができません。
また現金と違って、相続人の「思い入れ」の温度差が絡んでくることも多く、それがまた意見の対立にもつながるわけです。
たとえば、「実家は絶対私が引き継ぎたい(引き継ぎたくない)」という強烈な思いの相続人がいれば、大きな火種になりそうですね。
また、「土地は売ろう」と言う相続人と、「いや、売りたくない」と言う相続人がいた場合、その時点で意見は真っ二つです。
そのため、財産に不動産があり、とくに不動産の割合が多いと揉める大きな要因となるわけです。ましてや、財産が不動産だけの場合などは言わずもがなです。
ただ、財産に不動産があることは、すでにわかっていることですよね。
ですので、その場合には不動産についてだけでも、相続人同士でしっかり話し合っておくことが大切です。
そして、その分割方針をある程度決めておけば、相続発生後に揉める可能性はグッと減るでしょうし、必要に応じて、余裕をもって事前の準備(※)ができるようになりますね。
※たとえば代償分割の場合、不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して支払う代償金を保険加入等で準備しておく、等。
2.相続人同士が疎遠
相続が発生すれば、相続人同士で話し合い(遺産分割協議)をすることになります。
しかし、普段から疎遠だと相手の状況が分からず、ちょっとした誤解や行き違いでもめる可能性が高くなるものです。見知らぬ親戚が相続人同士ということも決して珍しくありません。
そのように、ほぼ会ったこともなく顔も知らないような相手だと、相手の事情を慮ることなく、お互いが好き勝手にズケズケと主張することも多く、やはり揉めるケースも多くなるでしょう。
したがって、普段からできる限りお互いの状況がわかる関係でいたいものです。
とはいえ、相続人同士が疎遠ということは、もともと「仲が悪い」可能性が高く、前妻の子などがいる場合には、被相続人の家族とは疎遠であることも多いでしょう。
その場合、感情的な問題もあるため、疎遠であることは仕方ないのかもしれません。
それだけに、「何となくあまり会っていないなぁ」程度の理由で疎遠であれば、意識して普段から会うように心がけ、できることなら相続についても話しておきたいところですね。
3.生前、被相続人によくしてあげた人がいる、よくしてもらった人がいる
よくあるのが、「相続人の1人が、被相続人の介護を一手に引き受けていた」といったようなケースです。この場合、他の相続人が「遺産は平等に分けよう」などと言い出すと、これは揉めますよね。
もしくは、「相続人の1人が、生前に被相続人からたっぷり資金援助をしてもらっていた」にもかかわらず、その相続人が「遺産は平等に分けよう」と言っても、やはり揉めそうですね。
もちろん、生前に被相続人に対して「よくしてあげた」、被相続人から「よくしてもらった」事情については、寄与分(きよぶん)や特別受益という制度があり、それらの事情を考慮して、遺産を分割するというルールはあります。(詳細は割愛します。)
しかし、その寄与分や特別受益の金額をいくらで見積もるのか、そもそも認めるのかについては、相続人同士の認識の食い違いは少なくありません。
そして当然、時間が経てば経つほどその食い違いは大きくなっていくものです。
その意味では、このように「よくしてあげた」「よくしてもらった」事情がある場合には、相続が発生してから共有するのではなく、現在進行形でもお互い共有しておきたいものですね。
以上、かなり大雑把な分類ではありましたが、実際相続トラブルの多くは、この3つの要因のいずれかに当てはまるケースが多いものです。
ですので、この3つの要因を知るだけでも、相続トラブル対策としてかなり参考になるのではないでしょうか。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏