【相続】「墓じまい」で想定されるトラブルとは?
DATE23.05.23
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
近年、少子高齢化や核家族化による墓守不足、また墓守の負担の大きさから「墓じまい」を検討する人が増えています。
そこで今回は、墓じまいで想定される様々なトラブルについて書いてみようと思います。
【墓じまいの流れ】
墓じまいとは、「お墓を撤去し、その使用権をお墓の管理者に返却すること」です。
ただ、お墓から取り出した遺骨は何らかの形で供養する必要があり、多くの場合移転先の寺院や霊園等にて永代供養をすることになります。
そんな墓じまいの手続きの流れを、以下に示しました。
1.現在のお墓の管理者(お寺など)に、「墓じまい」をすることを伝える
2.遺骨の移転先(永代供養先)から、受入証明書を受け取る
3.現在のお墓の管理者から、埋葬証明書を受け取る
4.現在のお墓の所在地である自治体から、改葬許可証を受け取る
※申請には、受入証明書・埋葬証明書が必要
5.お墓の撤去、遺骨の取出作業
※改葬許可証がなければ、遺骨を取り出すことができない
6.取り出した遺骨を、永代供養先に納骨する
ちょっと面倒ではありますが、知っておいて損はないでしょう。
それでは、そんな墓じまいで想定されるトラブルについて、見ていきましょう。
【想定されるトラブル】
・お寺から法外なお布施(離檀料)を請求される
現在のお寺から、とんでもなく高額なお布施を請求されるケースが考えられます。
一般に墓じまいにおけるお布施の相場は数万円程度とは言われていますが、明確な基準はなく、ある意味お寺の「言い値」となります。
したがって、墓じまいの伝え方によって(義理を欠くような態度で)感情がこじれてしまったりすると、非常にやっかいなのです。100万円を超える請求も、決して他人事ではありません。
最悪の場合、埋葬証明書を発行してもらえないこともあります。
埋葬証明書がなければ自治体から改葬許可証を受け取れず、遺骨取り出しができず、墓じまいをすることができません。
そんな事態を避けるためにも、お寺に墓じまいを伝える際には丁寧にその事情を説明しましょう。
・お墓の撤去で割高な料金がかかる
お墓の撤去作業は、お寺が指定する業者(石材屋)にしか発注できないケースもあります。
撤去費用の相場は20~30万円程度とは言われていますが、指定業者縛りの場合、相見積もりが取れないので、それよりも割高な費用となる場合もあり、それがもとでトラブルとなる可能性も十分あり得ます。
とはいえ、業者が指定されている以上、基本的には拒否することはできません。
下手に揉めてお寺との関係がややこしくなると、墓じまいができなくなる可能性もあります。
そのためせめてもの対策として、事前に指定業者の有無そしてその費用を確認しておき、しっかりと心積もりをしておきましょう。
・永代供養先で想定外の費用がかかる
最初に永代供養料を支払えば、その後の費用はかからないと思っている人は少なくありません。
実際、永代供養はそのような料金体系が一般的なのですが、管理者(寺院・霊園等)によっては、年会費や管理費等、別途費用がかかるケースもあり、事前にしっかり把握しておかないとトラブルになるので注意しましょう。
・親族間で揉める
そもそもの話ですが、墓じまいをする際には、まず親族間でしっかり合意をしておく必要があります。
そんな親族間の合意なしに、誰かが勝手に墓じまいを始めてしまっては、間違いなくトラブルとなることでしょう。
もっとも「墓じまいをすること」に対して合意をしても、その後のこと(誰が手続きをするか、費用を負担するか、永代供養先をどこにするかなど)も事前に決めておかないと、そこでまたトラブルになりかねません。
そのあたりまで含めて、事前にしっかりと話し合いが必要です。
墓じまいにかかる状況(親族関係、お寺との関係、地域の慣習、永代供養先の見込み等)は、人によって大きく異なります。
将来的に墓じまいの可能性がある場合、自身の状況についてはしっかり把握しておきたいものですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏