【相続】遺産が土地のみ、どう分ける?
DATE23.03.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは、「代償分割」です。
【遺産が土地のみの場合、どう分ける?】
Aさんが死亡して、その相続人は長男と二男の2人だとしましょう。
そして、長男と二男は法定相続分(それぞれ2分の1ずつ)で遺産を分けようとするのですが、Aさんの財産が「土地のみ」だった場合、どのように分ければよいでしょうか?
・被相続人 Aさん
・相続人 長男と二男の2人
・遺産 土地のみ(時価2,000万円)
【代償分割とは?】
遺産(土地)の分割方法としては、土地を分筆して分けたり、土地を売却(換金)して分けたり、もしくは土地を共有とする方法が考えられます。
しかし、「土地はそのままの状況で引き継ぎたい(共有も嫌)」のであれば、いずれも難しいですね。
そこで紹介したいのが、代償分割です。
代償分割とは、特定の相続人が遺産を現物で引き継ぎ、その代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う分割方法です。
今回のケースでは、たとえば長男が土地を取得して、その代償金として1,000万円(2,000万円×1/2)を二男に支払うという分け方が考えられます。
【代償金は、どうやって準備する?】
問題は、長男が支払う代償金ですが、これは長男の固有財産から支払うことになります。
一般に、代償金はかなりまとまった金額ですし、しかも、原則として現金で支払うこととなるので、しっかりと事前に準備しておく必要がありますね。
代償分割の際には、死亡保険金を活用するケースが多くなっています。
死亡保険金は、受取人の固有財産となるので、代償金の原資とできるからです。
すなわち、被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長男にしておけば、長男は受け取った保険金を代償金に充てることができます。
そのときの注意点としては、死亡保険金受取人は、代償金を支払う人にしておくことです。
これを、「代償金は、結局は、二男が受け取るのだから」と、代償金を支払う側の長男ではなく、代償金を受け取る側の二男を死亡保険金受取人にしてしまうと、その死亡保険金は、二男の固有財産となってしまいます。
この場合、もし相続発生後に、「保険金は保険金、代償金は代償金」と二男に主張されてしまうと、長男は、あらためて代償金を支払わなければいけないので気を付けましょう。
【代償金額は、どうやって見積もる?】
ところで、今回のケースでは代償金を1,000万円としましたが、これは遺産である土地の時価2,000万円をもとにした金額であって、必ずしも時価で計算しなければいけないわけではありません。
評価方法は「時価」「相続税評価額」「公示地価」「固定資産税評価額」の4種類あり、どれを基準に代償金額を見積もるかは相続人同士の話し合いとなります。
「時価」と「相続税評価額」で比べてみると、一般的には時価の方が相続税評価額よりも高いため、代償金を支払う側は「(時価よりも低い)相続税評価額」で見積もりたいでしょうし、代償金を受け取る側は「(相続税評価額よりも高い)時価」で見積もりたいところでしょう。
ですので、各相続人がある程度譲り合わなければ、まとまらないケースも多いかと思われます。
【生前から、しっかり準備・対策を】
上手く活用すれば、非常に有効な代償分割ではありますが、その代償金については、事前に十分な準備・話し合いが必要です。
いざ相続が発生してから考えていては、トラブルの元にもなりかねません。
もし代償分割の可能性がありそうであれば、相続人同士(できれば被相続人も交えて)、生前からじっくりと話し合って、対策を講じておきたいものですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏