ごえんをつなぐコラム

【企業経営】企業が採用活動で見るべき応募者の能力(2)

DATE23.03.02

皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
前回、能力には、「変わりやすい能力」「可変的だが変わりにくい能力」「非常に変わりにくい能力」があることについて触れ、「変わりにくい能力」に注目して採用を行うべきであると述べました。今回は、それを踏まえた上で、採用にあたっての手順について取り上げます。

 

■その能力は自社内で育成の機会があるか

産業・組織心理学分野の研究者であり、コンサルタントでもあるブラッドフォードは、「簡単に変化する能力」は採用後に育成できるのだから採用段階で注視する必要はなく、「非常に変わりにくい能力」については、採用段階でしっかり見ておかないと、後で教育のしようがないと主張しています。

しかしながら、「簡単に変化する能力」でも採用後、自社で育成できないという場合もあるでしょう。たとえば、コミュニケーション能力は育成可能ではあるものの、育成するスタッフがおらず、育成する機会がないということもあるかもしれません。

よって、採用段階では、「その能力は育成可能かどうか」ということの他に、「その能力を自社内で育成する機会があるかないか」という観点も必要になります。

 

■採用にあたっての手順

以上から採用にあたっての手順は次のようになります。

①「採用応募者のどの能力を評価するか」
自社にとって意味のある能力は何かを洗い出しておくということです。意味のない能力なら、当然ながら採用段階では考慮しません。

②「その能力は変わりにくいか」
「変わりにくい能力」なら採用段階で重点的に見て、「変わりうる能力」なら基本的には採用後の育成に委ねます。

③「その能力を育成する機会があるか」
その能力を育成する機会があるのであれば、採用段階で見るべきものではない可能性が
高いですが、育成が難しい場合は、採用段階で見るべきです。

 

企業は「変わりにくい」、あるいは「変わりやすいが自社内で育成機会のない」能力を持った人材を採用するべきです。第一印象の好感度で採用したものの、採用してから「もっとできると思った」と後悔することがないよう、業務で必要な能力を洗い出し、その能力を持った人材を採用するとよいでしょう。

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元

→企業が採用活動で見るべき応募者の能力(1)はこちら

(参考文献)
・服部 泰宏.採用学.新潮社.2016

一覧に戻る