【企業経営】会議の生産性をあげるには?
DATE23.01.05
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
だらだらと続く会議は誰にとっても嫌なものです。今回は会議の生産性を上げる方法について考えてみましょう。
■ルールや事前準備事項を決めておく
「会議の生産性を上げる=限られた時間で成果を出す」ためには、会議にあたってのルールや事前準備が必要になります。たとえば、終了時間(全体時間)を決めておけば、それだけで無駄な議論はなくなります。また、事前資料の確認については、必ずあらかじめ各自でやっておくことをルール化しておきます。共通認識については、会議を始める前に議長かファシリテーターが再確認するステップを組み込んでおくとよいでしょう。
■会議の達成目標を設定する
よくあるのが、会議の議題の一覧だけ先に述べて、達成目標がないというものです。
<本日の議題>
・来月の○○発売3周年記念イベントについて
・先月発売された○○の販売実績の報告
・来月実施予定の市場調査の方法について
これでは、みんながなんとなく話をして自己満足に終わるか、「結局、何のために集まったんだっけ」ということになりかねません。
会議とは基本的には「何かを決める場」であり、決定事項が成果ですから、意思決定の達成目標を明らかにしておく必要があります。よく各メンバーが現状の報告をだらだらとすることがありますが、報告だけなら会議の前にメールや掲示板、社内データベースへの格納などでできるはずです。たとえば、次のような会議の達成目標を明らかにしておくとよいでしょう。
<本日の達成目標>
・来月の○○発売3周年記念イベントの、メインの出し物の案出し
・先月発売された○○の販売目標未達の理由の共有と今後のテコ入れ策の決定
・来月の市場調査の詳細の最終確認
■洗い出しはあらかじめしておく
会議の目的には、「①決断する」「②問題点や不足、課題の洗い出しをする(リストを作る)」「③情報共有する」「④合意する=説得する=納得してもらう」「⑤ 段取りや役割分担など、次のステップを決める」があります。本来、会議は意思決定の場であるはずなので、目的はなるべく①④⑤に絞りたいところです。
「②洗い出しをする」ですが、よくあるパターンとして議長が「何かありませんか」とみんなに声をかけることがあります。いわれた方はポツポツとその場で思いついたことを発言するのですが、大抵はそのうち煮詰まってしまい、微妙な空気が流れることになります。それを防ぐために、あらかじめ各自でリスト化しておいてもらうということもありますが、各自に発表してもらっていると時間がかかりますし、多くの場合は話が重複してしまい効率的ではありません。
そうであるならば、異なる意見を持つ2人程度にのみあらかじめリストを作っておいてもらい、会議の場では、不足分だけを他の人が追加するというスタイルの方が効率的です。
■資料を読み上げさせない
よく会議の場で自分の資料を読み上げにかかる人がいますが、時間の無駄です。発表者にはまずは「他人の時間をとっていること」「会議の生産性を阻害していること」を意識してもらう必要があります。
これまで述べたように資料は事前配布が基本です。もしそれができないのであれば、作成者が読み上げるより、各自その場で読んでもらったほうがおそらく早いでしょう。話す時間が10分くらいかかる内容なら、一読するのに2分程度で済むのではないでしょうか。それでわからないところがあれば質問すればよいのです。
■「決めること」に専念する
だらだらしている会議は苦痛なのにそれを続けてしまうのは、なんとなく「みんなで話し合ったほうが良い」という思い込みがあるからではないでしょうか。もちろんみんなで力を合わせることで個人では不足する部分をカバーすることができます。しかし、ただ単に「みんなで話していれば良いアイデアが出る」というのは幻想にすぎません。既述の通り、会議は「何かを決める場」です。会議では意思決定したい事項を明確にしたうえで、「決めること」に専念する意識をもって臨むと良いでしょう。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元