ごえんをつなぐコラム

【相続】生前贈与加算の、うっかりポイント

DATE22.12.21

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回テーマは「生前贈与加算」です。


【生前贈与加算とは?】

生前贈与加算とは、亡くなる前(相続開始前)3年以内に被相続人からもらった財産がある場合、その財産は、相続税の課税対象に加算されることです。相続開始が近いことを知って、生きているうちに駆け込みで財産を贈与して、少しでも遺産を減らし、相続税を減らそうとすることを防ぐためですね。

これが令和5年度税制改正にて、2024年1月1日以降の贈与から、「3年以内→7年以内」に変更される方針となり、今、注目されています。

ただ、この生前贈与加算には見落とされがちな「うっかりポイント」がいくつかありまして、今回はそのあたりを紹介したいと思います。

※今回の記事は、現行(税制改正前)の生前贈与加算について書いています。

 

①支払った贈与税は、相続税から控除される

贈与財産が贈与税の基礎控除額(年間110万円)を超えていれば、贈与税を支払うことになります。

ただ、その贈与が生前贈与加算の対象となれば、その贈与財産は相続税の課税対象に加算されるわけで、それが相続税の基礎控除額を超えれば相続税がかかってきます。なので、同じ財産に対して、贈与税と相続税がダブルに課されてしまうのか・・・と思うかもしれません。

そこはご安心ください。

相続税の計算では、生前贈与加算の対象となった贈与財産に対して支払った贈与税があれば、それは、相続税額から差し引いてもらえるのです(贈与税額控除)。

つまり、同じ財産に対して、贈与税と相続税がダブルに課されることはありません。

 

②贈与税の基礎控除額(年間110万円)以下の贈与であっても、加算の対象となる

贈与を受けた財産が、贈与税の基礎控除額(年間110万円)以下であれば、贈与税はかかりません。

しかし、贈与税の基礎控除額以下であったとしても、それが亡くなる前(相続開始前)3年以内の贈与であれば、やはりその贈与財産は、相続税の課税対象に加算されるのでご注意を。

 

③生前贈与加算の対象とならない贈与財産もある

亡くなる前(相続開始前)3年以内の贈与であっても、「贈与税の配偶者控除」や「直系尊属からの贈与の非課税(住宅取得等資金、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与)」の適用を受けた贈与財産は、相続税の課税対象には加算されません。

これら贈与税の特例については、上手く使いたいものですね。

 

④生前贈与加算の対象となるのは、相続または遺贈によって財産を取得した者に限られる

そもそもの話ではありますが、亡くなる前(相続開始前)3年以内に被相続人から贈与を受けていても、その贈与を受けた人が、相続や遺贈によって財産を取得していなければ、その贈与財産は、相続税の課税対象には加算されません。

つまり、生前贈与を受けた人が相続人であっても、その人が遺産を取得していなければ、生前贈与加算の対象とはなりません。また、生前贈与を受けた人が相続人以外であっても、その人が遺言によって遺産を取得していれば、生前贈与加算の対象となるわけです。

したがって、亡くなる直前の贈与であっても、それが遺産を取得しない人への生前贈与であれば、相続税の節税メリットはあるわけですね。

 

⑤加算される金額は、「贈与時点」の評価額である(相続時点ではない)

つまり、将来的に値上がりが見込まれる財産を生前贈与しておけば、たとえそれが生前贈与加算の対象となったとしても、節税効果が期待できるわけです。もっとも、将来的に値上がりが見込まれる財産を見極めるのが至難の業ではありますが。

さて、いかがでしたか?

今後、大きく変更される予定の生前贈与加算ではありますが、まずは、2023年末まで適用される現行制度をしっかり把握しておきたいものですね。

 

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

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