【相続】遺産分割協議書って、絶対に必要なの?
DATE22.11.24
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは、「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書とは、「遺産分割の話し合いの結果をまとめた書面」のことです。
法的には、作っても作らなくてもいいですし、作る場合も、とくに定められた形式はありません。つまり、作成自由・形式自由な書類なのです。
【法的には、作成自由】
法的には、遺産分割協議書の作成義務はないですが、後々の「言った」「言わない」といったトラブルを防ぐためにも、作っておいたほうが無難でしょう。
相続後の銀行口座解約や不動産名義変更において、銀行や法務局で提出が求められるので、現実には、ほとんどのケースで作成することになるかと思います。相続人の人数分作成して、各自が一通ずつ保有するのが一般的です。
【法的には、形式自由】
法的には、遺産分割協議書にはとくに定められた形式はありませんが、相続人全員の署名・捺印(実印)が必要となります。話し合った内容(そしてその結果)に、相続人全員が納得していることを示すものとなるわけです。
当たり前ですが、相続人が1人でも欠けている(話し合いに参加していない、協議内容に納得していない)場合は、遺産分割協議書を作成することはできません。
記載する内容は、「被相続人は誰か」「相続人は誰か」「誰が、どの財産を、どれだけ取得するのか」などですが、誤解があると困るので、誰が読んでも同じ受け止め方になるよう、明確に記載する必要があります。書き方に不安があるのであれば、専門家に相談するのがよいでしょう。
【作成手順まで、自由】
通常は、相続人全員が揃って話し合い、その内容を協議書にまとめます。
とはいえ、相続人が大勢いたり、遠方に住んでいる人がいたりする場合もあります。また、今はコロナ禍ということもあって、皆が揃うことは難しい場合もあるでしょう。
その場合、あらかじめ相続人の1人が協議書を作成して、順次、他の相続人が署名・捺印していくやり方でもかまいません。遺産分割協議書は、作成手順も自由なのです。
【協議書作成後に、新たな相続人が出てきた場合は?】
遺産分割協議書の作成をもって、相続人全員が納得したということで、遺産分割の話し合いは完了します。
しかし、その後に、新たな相続人が出てきた場合はどうなるのでしょうか?
遺産分割後に、「相続人調査が不十分で相続人が漏れていた」「遺産分割後に離縁や離婚が無効となった」「遺産分割後に、父を定める裁判や母子関係の存在確認の裁判が確定した」といった理由から、新たな相続人が出てくる可能性は十分に考えられますよね。
その場合、遺産分割協議は無効となり、もう一度やり直さなければなりません。そのため、遺産分割協議書も作り直すことになります。
しかし、「新たに発見された遺言書で認知があった」ことを理由として、遺産分割後に新たな相続人が出てきた場合には、遺産分割協議をやり直す必要はありません。
もっとも、新たな相続人には遺産の取得権があるわけですから、その場合には、その新たな相続人は、その相続分に相当する金銭を請求することができます。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏