【年金】10月分の年金からスタートする在職定時改定とは?
DATE22.10.13
令和4年4月の法改正により「在職定時改定」という新しい制度ができました。
この制度は、10月分の年金額(12月振込分)からいよいよスタートします。
在職定時改定のポイントをまとめておきます。
・65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者で、毎年9月1日時点で厚生年金保険に加入している方が対象です。
・在職定時改定により、前年9月から当年8月までの厚生年金の加入期間が、10月以降の老齢厚生年金の年金額に反映されます。
日本年金機構ホームページより
05_0401teijikaitei.pdf (nenkin.go.jp)
改正前のルールでは、老齢年金を受給しながら厚生年金に加入している人は、
①会社を退職(厚生年金保険の被保険者資格を喪失)した時点
②70歳到達時点
のいずれかの時点で年金額の改定が行われていました。
それが、今回の改正により、毎年1回、直近の厚生年金加入期間が、年金額に反映される仕組みになりました。
制度の注意点としては
「65歳以降、厚生年金保険に加入している年金受給者」が対象となります。
65歳前に支給される特別支給の老齢厚生年金を受給している方については、この在職定時改定制度は適用されません。
65歳以降、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金をもらっている方は、毎年10月分の年金額から改定がかかります。厚生年金保険の加入期間が増え、毎年年金額が増えていくことになりますが、改定がかかることにより、どのような影響が出てくるか、注意点をあげておきます。
・在職老齢年金について
年金額の改定がかかると、当然、年金月額も増えます。
年金の基本月額と総報酬月額相当額*の合計が47万円を超えると、年金額の一部が支給停止になります。
在職老齢年金制度の影響を考慮して標準報酬月額をギリギリに設定している方については、基本月額の上昇により、一部支給停止が出る場合もありますから、注意が必要です。
※総報酬月額相当額:毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。
・加給年金額への影響は…?
加給年金額が加算*されるためには、厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上必要です。
※加給年金額:老齢厚生年金の額は、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子があるときは、加給年金額を加算した額とする。
65歳到達時点で加給年金額の対象となる配偶者等がいる場合でも、厚生年金の被保険者期間が240月に満たなかった場合、加給年金額は加算されません。
改正前は、65歳以降も厚生年金に加入し、被保険者期間が20年(240月)以上になる場合、厚生年金の資格を喪失したところから加給年金額が加算されることになっていました。
これが、在職定時改定の導入により、毎年1回、年金額の改定が行われるようになりますから、在職定時改定により、厚生年金の被保険者期間が240月を超え、要件に該当する配偶者や子がいる場合は、その時点の生計維持関係で加給年金額が新たに加算されるようになります。
度重なる制度改正により、年金制度は年々複雑になっています。
年金実務に携わる方は、その都度改正点はご自身で確認されると思いますが、「年金検定」のような試験を定期的に受験するのもおすすめです。
試験勉強を通じて、制度改正に対応するための知識をアップデートすることができますし、試験合格という目的意識があると、制度内容の理解も深まるのではないでしょうか。
年金検定は、何度も受験できる試験です。ぜひ、積極的にチャレンジしていただきたいです。正しい年金の知識を身につけましょう。
社会保険労務士
後藤 朱