【相続】不意打ちの贈与税に要注意?
DATE22.09.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「みなし贈与」についてです。
【贈与税は、厳しい】
贈与税は、厳しい税金です。
たとえば、親がポンッと1,000万円、子にあげてしまうと、その子には177万円もしくは231万円もの贈与税がかかってくるのです(計算式は下記参照)。
・贈与年1月1日時点で子が18歳以上(特例税率)
(1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円
・贈与年1月1日時点で子が18歳未満(一般税率)
(1,000万円-110万円)×40%-125万円=231万円
なので、贈与をする際には、かなり慎重にならざるを得ないわけです。
というか、(何らかの特例を適用しない限り)まとまった金額の贈与は避けたいところですね。
しかし、自分では贈与とは思っていなくても、贈与とみなされる行為があることを、ご存じでしょうか?
それが今回のテーマ、「みなし贈与」です。
【みなし贈与とは?】
みなし贈与とは、贈与ではなくても、贈与とみなされる行為のことを言います。
たとえば、「Aさんが時価1億円の土地を、Bさんに1,000万円で売った場合」などが挙げられます。
このように、時価よりも著しく低い価額での売却のことを「低額譲渡」といい、みなし贈与の代表例でもあります。
みなし贈与と認定されると、それによって受けた経済的利益については、贈与税の対象となります。
この場合、時価と売却額との差額9,000万円(1億円-1,000万円)がみなし贈与として、贈与税の対象となります。その結果、Bさんにはなんと4489.5万円(※)もの贈与税がかかってくるのです。
※(9,000万円-110万円)×55%-400万円=4,489.5万円(一般税率適用)
なお、低額譲渡の他にも、以下のような行為も、みなし贈与とされます。
・債務免除
例)Aさんが、Bさんに貸した1,000万円について、「返済しなくてもよい」とした。
・債務の引受け
例)Aさんが、Bさんの借金1,000万円について、肩代わりをした。
・無償の名義変更
例)Aさん名義の不動産(時価1,000万円)を、無償でBさん名義に変更した
・保険金の受取
- 契約者(保険料負担者)・被保険者がAさんである生命保険の満期保険金1,000万円を、受取人であるBさんが受け取った。
- 契約者(保険料負担者)Aさん、被保険者Cさん、死亡保険金受取人Bさんである生命保険の死亡保険金1,000万円を、Bさんが受け取った。
いかがですか?
いずれも、決して珍しいケースではないですよね(とくに保険金の受取)。
なお、上記のいずれのケースも、Bさんが得た経済的利益である1,000万円がみなし贈与として、Bさんの贈与税課税対象となります。
【不意打ちは、ダメージ大】
みなし贈与の怖いところは、ある日突然、税務署からお尋ねがやってくるということ。
そして、みなし贈与と認定されると(認定されるか否かは、税務署の判断次第)、予期せぬ贈与税がかかってくるわけです。
もともと厳しい贈与税が、不意打ちでやってくるわけですから、これは大ダメージであることは、言うまでもありません。しかも、無申告の指摘を受けると、延滞税もかかってくるわけですから、たまったものではありません。
そんな事態に陥らないためにも、その行為が「みなし贈与」となるか否か、慎重に判断してから行動したいところですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏