【相続】相続税と養子縁組、注意すべき点は?
DATE22.07.21
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回のテーマは、「相続税対策における養子縁組の注意点」についてです。
【養子は、血族第1順位の相続人】
養子は、養親の嫡出子(婚姻関係のある夫婦間の子)たる身分を取得することとなり、「血族第1順位」の相続人となります。養子縁組をする目的は様々でしょうが、中には、相続税対策(相続税を減らすため)であるケースも少なくありません。
そこで今回は、そんな相続税対策として養子縁組をする際の注意点を見ていきます。
【相続税対策につながるのは1人もしくは2人まで】
相続税の計算では、「基礎控除額」や「生命保険金・死亡退職金の非課税枠」として、以下の金額が、課税対象から外されます。
・生命保険金・死亡退職金の非課税枠 500万円×法定相続人の数
・基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数
すなわち、法定相続人が1人増えると、それぞれ500万円、600万円と課税対象から外されるので、相当な減税効果が見込まれますね。ちなみに生命保険金と死亡退職金の非課税枠は、生命保険金と死亡退職金のそれぞれ別枠で使えます。
なので、養子をたくさんとって法定相続人を増やそう…と思う人もいるわけです。
しかし、この法定相続人としてカウントされる養子の数には、以下のとおり制限があるのです。
・実子がいる場合 :1人まで
・実子がいない場合 :2人まで
養子そのものは何人とってもよいのですが、何人とったとしても、法定相続人の数にカウントされて、基礎控除額や生命保険金等の非課税枠のアップにつながる(相続税対策となる)のは、1人もしくは2人までなのです。
相続税対策として養子縁組を考えている場合には、これは注意が必要ですね。
【養子縁組によって、法定相続人が減ることも…】
一般に、養子縁組をすれば、(上限があるとはいえ)法定相続人は増えると思いますよね。
しかし、家族構成によっては、養子縁組によって法定相続人が減ってしまうケースもあるのです。
たとえば、相続人が「配偶者と両親(父親・母親)」の3人のケース。
この場合、養子縁組をすることで、血族第2順位の両親ではなく、血族第1順位の養子が相続人となるので、相続人は「配偶者と養子」の2人となってしまうのです。
法定相続人が減ってしまえば、前述の基礎控除額や生命保険金等の非課税枠も減ってしまうので、相続税は増えてしまい、逆効果…。
そんなことがないよう、養子縁組による法定相続人の変化は、しっかり確認しておく必要があります。
【孫養子は、相続税額2割アップ?】
被相続人の「配偶者・1親等の血族(の代襲相続人)」以外の人が遺産を取得した場合には、その相続税額は2割アップとなるルールがあります。
被相続人の養子は、子(1親等の血族)の立場なので、2割アップとはなりません。
しかし、被相続人の孫が、被相続人の養子となった場合には、2割アップの対象となってしまうのです(※)。
それにより、想定外の税金を払うことにもなりかねません。実際、孫を養子にするケースは多いので、注意したいところですね。
※その孫(養子)が代襲相続人である場合(被相続人の子がすでに死亡等していて、孫が相続権を継いでいる場合)
は2割アップの対象とはならない。
このように、相続税対策として養子縁組をしたとしても、思ったほど効果がない、もしくは逆効果のケースもあるので注意したいものですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏