ごえんをつなぐコラム

【年金】社会保険の適用拡大がいよいよ実施! 加入するメリットは?

DATE22.07.12

令和4年10月1日から、社会保険の適用拡大に関する改正が施行されます。

この改正により、パート、アルバイトなど短時間で働いている方で、今まで会社の社会保険の加入対象ではなかった人たちが、新たに加入対象となります。

社会保険に入る=負担が増えるばかり…と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。今回は、適用拡大の対象者と、加入するとどのようなメリットがあるのかを見ていきたいと思います。

 

  • 被保険者数が100人を超える事業所で、短時間労働者の加入対象者が拡大

現在、会社の社会保険(健康保険や厚生年金)への加入が義務付けられているのは、フルタイム勤務者、勤務時間がフルタイム勤務者の4分の3以上(週30時間以上勤務)の方たちです。また、被保険者数が500人を超える会社においては、週の勤務時間が20時間以上の短時間労働者も加入が義務付けられています。具体的に加入対象となる短時間労働者の要件は、次の①~④すべての要件を満たす方です。

① 週の労働時間が20時間以上であること

② 月額賃金が8万8,000円以上であること

③ 1年以上継続勤務の見込みがあること

④ 学生ではないこと

さて、今回この短時間労働者の加入対象者に関する改正が行われますが、改正点は大きく2点あります。

 

1.20時間以上の短時間労働者が加入対象になる事業所の規模が拡大

週の勤務時間が20時間以上の短時間労働者が社会保険に加入しなければならない事業所の規模について、従来の500人を超える会社から、100人を超える会社に拡大します。

今後、段階的に拡大していく予定で、令和6年10月以降は50人を超える会社にも拡大される予定です。

 

2.短時間労働者の勤務期間要件が改正

短時間労働者の加入要件について、「1年以上継続勤務の見込みがあること」という要件がありましたが、令和4年10月以降、この要件が撤廃されます。これにより、1年以上継続勤務の見込みがなくても、「2カ月を超える雇用の見込みがある」場合などは加入対象となります。

今回の改正により、被保険者数が100人を超える会社で働いている短時間労働者の方たちは、今後社会保険の加入対象になっていきます。なお、加入日は令和4年10月1日からとなります。

社会保険に加入すると、給与から健康保険や厚生年金の保険料が天引きされるため、手取り額が少なくなって嫌だな…と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、社会保険に加入することで、次のようなメリットもあります。

 

メリット1 厚生年金の給付が受給できる

厚生年金に加入することで、国民年金の基礎年金部分に加えて、厚生年金から上乗せ給付を受け取ることができるようになります。

 

例えば、老齢年金の場合、月収10万円で1年間働いた場合、その分の老齢厚生年金の年金額は約6,400円となります。10年間働いた場合の年金額は約64,000円となります。

老齢厚生年金は、加入期間(被保険者期間)と加入期間中の平均標準報酬額で計算しますから、加入した分、老後の年金にも反映されていきます。

※給付乗率は1000分の5.481で計算

また、老齢年金だけでなく、もしものときの障害や遺族の給付についても、厚生年金から給付を受給することができます。

障害年金については、障害基礎年金が障害等級2級までなのに対し、障害厚生年金は障害等級3級まであります。また、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには、一時金として障害手当金を受給できる場合もあります。

遺族年金についても、遺族基礎年金は「子がいる配偶者」や「子」が遺族の範囲ですが、遺族厚生年金のほうが受給対象となる遺族の範囲が広くなっています。

※子は、18歳到達年度末日までの子または20歳未満で一定の障害状態にある子

 

メリット2 健康保険から傷病手当金や出産手当金が受給できる

社会保険に加入することで、健康保険からもより充実した給付を受けることができるようになります。病気で長期間お休みすることになってしまった場合は傷病手当金、出産のため休んでいる期間は出産手当金を受け取ることができます。

 

社会保険に加入することで、このように多くのメリットもあります。今回の適用拡大に関する改正は、今後の働き方を考えるきっかけにもなりますね。

社会保険労務士
後藤 朱

 

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