【企業経営】「自分のせい?他人のせい?」成長するための原因の求め方
DATE22.07.04
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
失敗の原因を何に求めるかはモチベーションと深い関係があります。「外部(環境)に求めるか内部(自分)に求めるか」「変えられないものに求めるか」「変えられるものに求めるか」によって、人間としての成長は大きく変わります。
■周りのせいにしていては成長できない
原因帰属には、内的統制型と外的統制型があります。
内的統制型とは、原因を自分自身(内的要因)に求めるということです。たとえば「自分は能力がないから失敗した」「努力不足だった」「経験が浅いから上手くいかなかった」といった具合です。
外的統制型とは、原因を自分以外の外的要因に求めるということです。たとえば「上司の指示が悪かった」「悪いお客にあたった」「運が悪かった」といった具合です。
一般に外的統制型よりも内的統制型のほうが成績が良いことが実証されています。成功すれば自分の能力ややってきたことに対する自信になりますし、失敗したときもその原因を振り返り、自分の至らなかったところを強化するためのアクションを講じることができるからです。
逆に自分がコントロールできない外的要因のせいにしていては、自分を改善させるための手がかりを得ることはできないでしょう。
■単に自分のせいにするだけでもダメ
時には愚痴で人のせいにすることは精神衛生上悪いことではありませんが、何でもかんでも自分以外のせいにするのはよくありません。
しかしながら内的統制型であれば絶対によいかというとそうではありません。内的統制型でも失敗した時にモチベーションが下がり挫折してしまうタイプと、モチベーションが下がらず挫折しないタイプがいます。
心理学者のワイナーは、自分自身の内的要因を、安定的な要因と変動的な要因に分け、安定的な要因として能力、変動的な要因として努力を挙げました。また外的要因のうち、安定的なものとして課題の困難度を、変動的なものとして運を挙げました。
能力や適性、素質はなかなか努力では変えられません。中には生まれついてのものもあります。一方、努力やスキル、コンディションは自分の心がけで変えることができます。
成功した時は、その原因を安定的なものに求めても変動的なものに求めてもどちらでも良いのですが、失敗した時に努力不足という変動的な要因のせいにする人はモチベーションを維持できるのに対し、能力不足という安定的な要因のせいにする人はモチベーションを維持できないとされています。
なぜなら、失敗した時に、「自分は能力がないんだ」「そもそも向いてないんだ」と安定的な部分のせいにしてしまうと、あきらめるしかないからです。
一方、失敗した時に、「自分の努力不足だったから」と変動的な部分のせいにすれば、「次の機会ではもっとがんばろう」と前向きな気持ちになれます。
■部下の育成にどう活かすか?
挫折に弱い部下には、原因帰属のクセを直させる必要があります。たとえば「ついてなかった」と何でもかんでも外的要因のせいにする人には、まずは内的な要因のせいにするよう働きかける必要があるでしょう。
さらに「自分には適性がない」などと能力などの安定的な要因のせいにする人には、「もう少しで上手くいったはず」「足りないスキルを補えばよい」といったように変動的な部分の不足を意識させるような言葉がけが求められます。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元