ごえんをつなぐコラム

【年金】確定拠出年金の掛金について

DATE22.06.14

前回に続き、確定拠出年金のお話です。今回は、確定拠出年金(DC)の掛金についてみていきましょう。確定拠出年金の掛金は、毎月、年間で定められた掛金の上限額の範囲内で払っていきます。

企業型DCの掛金は会社が払い、個人型DC(iDeCo)の掛金は、加入者本人が払っていきます。

 

企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金

企業型DCは、規約に基づき、拠出限度額の範囲内で事業主が掛金を拠出します。

拠出限度額は、次のようになっています。

【企業年金(確定給付企業年金など)実施なしの場合】

月額55,000円(年額660,000円)

規約でiDeCoとの同時加入を認める場合は月額35,000円(年額420,000円)

【企業年金実施ありの場合】

月額27,500円(年額330,000円)

規約でiDeCoとの同時加入を認める場合は月額15,500円(年額186,000円)

 

iDeCoの掛金

iDeCoの掛金の拠出限度額は、加入している年金制度により異なります。

【自営業者等(国民年金第1号被保険者、任意加入被保険者)】

月額68,000円(年額816,000円)

※国民年金基金掛金や付加保険料との合算

【会社員(国民年金第2号被保険者)】

月額23,000円(年額276,000円)

企業型DC加入者は月額20,000円(年額240,000円)

企業年金と企業型DC両方に加入している人は月額12,000円(年額144,000円)

企業年金のみ加入している人、公務員は月額12,000円(年額144,000円)

【専業主婦(夫)等(国民年金第3号被保険者)】

月額23,000円(年額276,000円)

企業型DCとiDeCoの掛金の全体像は、次のようになっています。

厚生労働省ホームページより)

企業型DC加入者も、iDeCoに加入しやすくなる!

現行制度において、iDeCoと企業型DCの併用ができるのは、①iDeCo加入を認める企業型DCの規約があり、②規約にて企業型DCの事業主掛金の上限を月55,000円から35,000円に引き下げている企業の従業員に限定されています。

つまり、企業型DCに加入している方がiDeCoに加入できるかどうかは、会社の規約次第ということになります。

令和4年10月1日からは、企業型DC規約の定めや事業主掛金の引き下げがなくても、iDeCoに加入できるようになります(原則)。

掛金は、月55,000円から各月の事業主掛金を控除した残余の範囲内(上限は月20,000円)で、企業型DC加入者もiDeCoの掛金を各月で拠出できるようになります。

ただし、すでにマッチング拠出をしている方や、掛金が月単位拠出になっていない場合は、iDeCoに加入することはできません。

・令和4年10月1日以降の掛金のイメージ

厚生労働省ホームページより)

企業型DC加入者でマッチング拠出を実施している人は、選択できるように!

企業型DCには、規約に定めがある場合、従業員が希望して掛金を上乗せして払うことができる「マッチング拠出」という制度があります。マッチング拠出ができる掛金は、事業主掛金の額を超えない範囲内とされています。

たとえば、会社掛金が月30,000円の場合、マッチング拠出できるのは、月25,000円までということになります。

現行の制度では、マッチング拠出を導入している企業の方はiDeCoへの加入はできませんが、改正により、マッチング拠出を導入している企業の方でも、加入者自身が、マッチング拠出にするか、iDeCo加入かを選択することができるようになります。この改正も令和4年10月1日から実施されます。

 

これらの改正により、企業型DC加入者にとって、掛金を増やす選択肢が広がっていくことになります。

確定拠出年金制度は、複雑で改正も多く、難しいです。また、自身の運用収益により将来の給付額が決まる仕組みですから、金融や投資に関しても、正しい知識が必要です。

しかし、利用するとメリットもたくさんあります。掛金については所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を受けられますし、運用時の運用益は非課税です。

ぜひこの機会に確定拠出年金について考えてみてはいかがでしょうか。

 

社会保険労務士
後藤 朱

一覧に戻る