【企業経営】創業は大きく考え小さくスタートする!「リーン・スタートアップ」という考え方
DATE22.05.02
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
多くの創業者に見られるのが、自分の考えた商品やサービスに過度に自信を持っているために、最初から大きな賭けに出てしまうことです。自分の思いだけで事業をスタートすることは危険です。顧客の反応を見ながら事業プランを修正していくリーン・スタートアップの考え方をご説明します。
■大きく考え小さくスタートする
GAFAの華麗な成功例がある一方で、数多くのベンチャー企業の倒産があります。ソフトウエア企業の上場率は1%程度で、WEB関連だとそれ以下だと言われます。ハイテク系のベンチャー企業にかかわらず、創業には大きなリスクが伴います。
8つのベンチャー企業のスタートアップに参加し、そのうち4つを株式公開に導いたスティーブ・ブランク氏は、スタートアップ企業に求められる4つのステップを提唱しています。
① 顧客発見(聴いて発見)
② 顧客実証(売って検証)
③ 顧客開拓(リーチを検証)
④ 組織構築(本格拡大)
※ただし、②でダメならピボットで①に戻る。
これは、「大きく考え小さくスタートする」ということに他なりません。すなわち、将来のビジョンは大きく描くが、事業は、最初は小さく始めて検証しながら、反応が良ければ段階的に拡大していくということです。
■まずは、「すぐに試す」ことが重要
この考え方を、エリック・リース氏がリーン・スタートアップとして発展させます。
スタートアップ企業は、世の中を変えてやろうという大きな野心を持って起業します。そして、それゆえに商品リリースまでに入念な準備を時間をかけて行いがちです。彼はこれこそが誤りなのだと断じています。
それは事前にいくら入念にリサーチしたり分析したりしても、実際にあたるかわからないからです。リースは、トヨタ自動車の「ムダを省く(リーン)」という思想をスタートアップ企業に持ち込みました。
具体的には、実用に足る最小限の製品を素早く開発し、それをテストマーケティングして試して検証します。「新製品・新サービスの簡易版を素早く開発する」「テスト販売して反応を確かめる」「修正・改良すべき点を反応から学ぶ」のサイクルを高速で回転させるのです。
■一般の創業への応用例
リーン・スタートアップは、もともとハイテク系のベンチャー企業のスタートアップに関する考え方ですが、それ以外の一般の創業のケースでも応用することができます。一般の創業希望者の方は、次のことを考えるとよいでしょう。
・脱サラする前に副業で始められないか?
・元手を少なくして始められないか?
・他社の資産を利用できないか?
たとえば試作品を作って反応を試験的に確かめてみる、小ロットで始めるといったことも検討してもよいでしょう。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元