【相続】ペットに財産を遺すことはできるのか?
DATE22.03.22
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
犬や猫などのペットを飼っている場合、自身が死亡した後、ペットが気がかりという人は少なくないでしょう。
そこで今回は、「ペットと相続」について取り上げてみたいと思います。
【ペットには直接、財産を遺すことはできない】
まず、ペット(動物)には、直接に財産を遺すことができません。
残念ながら法律上は、ペット(動物)は財産の所有者となることはできないからです。
それでは自分が死んだ後、その遺産を使ってペットの世話をしてもらいたい場合は、どうすればよいのでしょうか?
一般に考えられる方法としては、「負担付遺贈」と「負担付死因贈与」があります。
・負担付遺贈
「ペットの世話をきちんとすること」といった条件のもと、特定の人(ペットの世話を頼みたい人)に財産を譲る遺言を作成することです。
ちなみに遺贈とは、遺言によって財産を与えることを言います。
その遺贈において、財産を与える見返りとして、一定の義務を負担してもらうものを負担付遺贈と言うのです。
・負担付死因贈与
「ペットの世話をきちんとすること」といった条件のもと、特定の人(ペットの世話を頼みたい人)に財産を譲る死因贈与契約をすることです。
ちなみに死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与のことを言います。
要するに「死んだら、あげるよ」ですね。
その死因贈与において、財産を与える見返りとして、一定の義務を負担してもらうものを負担付死因贈与と言うのです。
なお、遺贈は「一方的な意思表示」なので、受遺者(遺言で財産を受取る人)に放棄(ペットの世話をしたくないから財産はいらないと拒否)される可能性がありますが、死因贈与は「お互いの合意により成立する」ので、確実にペットの世話を託すことができるので安心ですね。
【信託という方法も・・・】
ところで、負担付遺贈・負担付死因贈与いずれにおいても、その遺贈・贈与された財産は、当たり前ではありますが、受取った人の財産となってしまいます。
なので、その財産を、本当にペットのために使ってくれるかどうか、不安に思う人も多いでしょう。
そこで今注目されているのが、「信託」を利用するという方法です。
信託とは、財産を信頼できる人に託して、あらかじめ定めた目的に沿って管理・運営してもらうしくみのことです。
具体的には、ペット飼主である委託者、信託財産を管理する受託者、ペットの世話をする(信託財産を受領する)受益者を定めて、信託契約を締結します。
これにより、その信託財産はペットの世話(信託契約で定めた範囲)でしか利用できないので安心ですね。
信託契約は、委託者の死亡後も有効なので、自身が死亡した後、ペットが気がかりという人にとってはうってつけでしょう。
ただ、この信託を利用する方法は少々専門的で、費用や手間もかかり、前述の負担付遺贈や負担付死因贈与に比べてハードルは高いかもしれません。
ですが、ペットと暮らす高齢者も少なくない中で、一つの選択肢として知っておいて損はないかもしれませんね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏