【企業経営】従業員のモチベーションを上げるために最も重要なもの「承認欲求」
DATE22.02.28
皆様、こんにちは。資格の学校TACで、企業経営アドバイザー検定試験の対策講座講師(担当:企業経営・生産管理)をしている、中小企業診断士の三枝元です。
「部下のやる気を高めるにはどうすればよいか?」は経営者や管理職にとって最大のテーマといっても過言ではないでしょう。今回は「承認欲求(自分を認めて欲しいという欲求)」について取り上げます。
■「カネ」でも「やりがい」でも説明できない
「モチベーションの源は何か?」を問うと、「カネ派」と「やりがい(自己実現)派」に分かれます。
まず「モチベーションの源はカネである」という主張を考えてみましょう。確かに同じ仕事をするのであれば給与は高いに越したことはありません。しかし給与が高い会社の従業員が、みなモチベーションが高いとは限らないし、そもそも人は無給のこと(たとえば趣味や部活動、ボランティアなど)でも熱心に取り組むことからも、この考え方には無理があります。
一方、「やりがい(自己実現)派」にも違和感があります。もちろん将来の目標に向けて修行するという意識で仕事をする人もいるとは思いますが、「自己実現」で仕事を取り組んでいる人が多数派だとは思えません。
■自分の価値を認めて欲しい
「カネ」でも「やりがい(自己実現)」でもモチベーションの源泉を説明できないとしたら、他に何があるのでしょうか?1つの考え方として、「承認欲求」というものがあります。承認欲求とは、「自分のことを認めて欲しい」という欲求のことです。
人は多かれ少なかれ他人から「認められたい」「感謝されたい」という気持ちがあるものです。
■承認欲求に基づいたマネジメント
管理者は社員の承認欲求を日頃から満たすことが重要です。もともと公正でかつ納得性の高い賃金など無理な話ですから、評価と賃金は分けて考え、それを社員にもある程度納得してもらう必要があります。
「よくやっている」「この間の仕事はよかったね」などと声をかけて承認欲求を満たしてあげるほうが、社員が望むように賃金を上げるより遥かに安上がりでかつ現実的です。
ちなみに承認のしかたには、「表の承認」と「裏の承認」があります。表の承認の例としては、会社(上司)による昇進制度や昇給制度があります。裏の承認には、表彰制度や同僚などによる評価・評判、顧客などの取引先からの日頃の評価・感謝、社外での研究会での評価などがあります。
表の承認については、そもそも昇進や昇給の機会が限られていること、さらにともすればエゴ型やる気(自尊心に基づいたやる気)を促しかねず、同僚との競争心をいたずらに煽ってしまう(協調性が失われる)という問題があります。よって表の承認に囚われると、競争に終始し、本人自身の成長に目を向けさせることができなくなる可能性があります。
■裏の承認を促すためには
裏の承認を促すためには、個人を表に出す文化づくりが求められます。そのためには次のような方法があります。
<個人の業績と一緒に名前を表に出す>
担当スタッフの名前を顧客に知ってもらいパフォーマンスを認めてもらうことでやる気や責任感を高めます。
<仕事のプロセスを公開する>
働く者にとってのハレの場を提供することでモチベーションアップを図ります。
<ほめ合う文化をつくる>
典型的な例は、社内での表彰です。また各自に感謝カード(サンクスカード)を渡しておき、他の社員が自分に協力してくれたり優れたパフォーマンスを示してくれたりした折に、それを渡すといった取り組みが多く見られます。
企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元