【相続】こんなにスゴイ、自筆証書遺言保管制度
DATE22.02.21
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
2020年7月10日より始まった「自筆証書遺言保管制度」ですが、開始1年間の時点で利用者は2万人を突破し、非常に順調な滑り出しとなっています。
今回は、そのメリットについて取り上げてみます。
【自筆証書遺言保管制度の数々のメリット】
本人が遺言書の全文(財産目録除く)・日付・氏名等を自書し押印するだけの自筆証書遺言は、作成が簡単で費用がかからず、非常にお手軽です。
しかし、自筆証書遺言には、紛失や改ざんの恐れがあります。
そこで、法務局で遺言書が適正に保管・管理される自筆証書遺言保管制度を利用することで、そういった紛失や改ざんの心配はなくなるのです。
また、自筆証書遺言保管制度のメリットは、それだけではありません。
・保管申請時に、形式に適合するかのチェックを受けることができる
自筆証書遺言のデメリットの1つとして、民法の定める自筆証書遺言の形式不備により、無効となる恐れがあります。しかし、保管申請時に遺言書保管官による形式チェックが受けられるため、その心配がなくなります。
・検認が不要となる
本来、自筆証書遺言には相続発生後に家庭裁判所での検認が必要で、これは手続きに1ヶ月程度要します。
しかし、保管制度を利用することで、この検認が不要となり、スムーズに相続をすすめることができます。
・遺言書が預けられているかどうかを照会できる
遺言者の死亡後、相続人等は最寄りの法務局で「遺言書保管事実証明書(自身(請求者)が相続人等である遺言書が保管されているかどうかを証明した書面)の交付請求」ができるので、遺言書を探す労力を大幅に軽減することができます。
・一定の場合、遺言書が預けられている旨の通知がくる
遺言者の死亡後、相続人等は最寄りの法務局で「遺言書の閲覧」や「遺言書情報証明書(遺言書の写しのようなもの)の交付請求」ができます。
そして、相続人等のうち誰か一人が、この「遺言書の閲覧」や「遺言書情報証明書の交付請求」をした場合、相続人等全員に対して、遺言書が保管されている旨が通知されます。これにより、関係者は相続発生を知る機会を得ることができます。
また、遺言者の希望によって、法務局が遺言者死亡の事実を確認したときに、あらかじめ通知対象とされた人(遺言者1名につき1名)に、相続人等の閲覧等を待たずに、遺言書が保管されている旨を通知することができます。
【気になる費用は・・・?】
さて、そんな数々のメリットのある自筆証書遺言保管制度ですが、その費用は遺言書1件につき、たったの3,900円(※)です。その金額で、遺言者の死後50年間も預かってもらえるのです。
※以下の請求にはそれぞれ別途手数料が必要。
・遺言の閲覧:1,700円(原本)・1,400円(モニターによる)
・遺言書保管事実証明書:800円
・遺言書情報証明書:1,400円
遺言書を遺すことは、相続トラブル対策にもつながります。
現在、遺言書を遺している割合は1割程度(もしくはそれ以下)と推察されている中で、この自筆証書遺言保管制度をきっかけに、遺言書の作成がもっと身近になることを期待したいところですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏