アパート経営が、なぜ、相続税節税になるのか?
DATE21.06.21
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは、「相続財産の評価額引き下げ」です。
【アパート経営で、相続税を節税しましょう】
多額の資産、とくに多額の現金をお持ちの方に、このような提案は少なくありません。というか、相続税節税の定番と言っても良いでしょう。
ではなぜ、アパート経営が相続税節税になるのでしょうか?
それはズバリ、「相続財産の評価額引き下げ」にあります。
【不動産の評価額は、実勢価格よりも低い】
相続税は、相続財産に対してかかってきます。
相続財産が現金の場合、その評価額は、その金額そのものとなりますが、相続財産が不動産の場合、その評価額は実勢価格よりも低くなるのです。建物であれば固定資産税評価額(実勢価格の6割程度)、土地であれば路線価評価額(実勢価格の8割程度)で評価されるのです。
ですので、保有する現金で不動産を買うだけでも(財産を「現金」→「不動産」に換えるだけでも)、相続税を大幅に減らすことができるのです。
そして、その不動産を人に貸すことで(アパート経営をすることで)、さらに大きな節税効果が見込めます。
なぜなら、その建物がアパート(貸家)であれば、さらに評価額は下がり、実勢価格の4~5割程度となるからです。そして土地についても、それがアパート敷地(貸家建付地)であれば、さらに評価額は下がり、実勢価格の6~7割程度にまで下がるからです。
それでは、事例で見てみましょう。
【事 例】
現金2億円を保有する人が、(1) 現金2億円をそのまま保有、(2) その現金で不動産を購入、(3) その購入した不動産でアパート経営したときの、相続財産の評価額は以下のとおりです。
(1) 現金2億円をそのまま保有
合計 2億円
(2) その現金で不動産を購入(購入価格:建物1億円・土地1億円)
建物 1億円×60%=6,000万円(固定資産税評価額:実勢価格の6割程度)
土地 1億円×80%=8,000万円(路線価評価額:実勢価格の8割程度)
合計 1億4,000万円
(3) その購入した不動産でアパート経営
建物(貸家 ※1) 6,000万円×(1-30%)=4,200万円
土地(貸家建付地 ※2)8,000万円×(1-70%×30%×100%)=6,320万円
合計 1億520万円
※1 自用家屋評価額×(1-借家権割合)
※2 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
★借地権割合70%・借家権割合30%・賃貸割合100%とする
いかがでしょうか?
保有する現金で不動産を購入するだけでも評価額は7割にまで下がり(2億円→1億4,000万円)、さらにアパート経営をすることで、評価額はなんと半分程になりました(2億円→1億520万円)。
【アパート経営の留意点】
このように、アパート経営による節税効果は非常に魅力的です。
しかし、節税のためだけに、安易にアパート経営に乗り出すのは考えものです。
当然、アパート管理運営のための費用・労力・知識は必要となってきますし、思いどおりに収入(家賃)が入ってこなければ、赤字となってしまいます。また、そのアパートを相続する人のことも考えなくてはいけません。節税効果だけに目を奪われず、慎重に検討したいものですね。
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏