1人で、相続人の身分2人分!?
DATE21.03.23
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。
今回テーマは「相続人の二重身分」です。
【1人で、2人分の身分となる】
いきなりですが、事例で説明しましょう。
たとえば、相続人が、配偶者と子(長男・二男)の3人のケースだと、その法定相続分は以下のとおりです。
相続人 | 法定相続分 | |
配偶者A | → 1/2 | |
子 | 長男B | → 1/4 |
二男C | → 1/4 |
ただ、相続開始時にすでに長男が亡くなっており、その長男に子ども(すなわち被相続人の孫)がいた場合には、代襲相続が発生します。
この代襲相続によって相続権は引き継がれ、長男の子ども(被相続人の孫)は相続人となり、長男の法定相続分を受け継ぐことになります。
相続人 | 法定相続分 | |
配偶者A | → 1/2 | |
子 | 長男B(死亡)⇒孫D(長男の代襲相続人) | → 1/4 |
二男C | → 1/4 |
ところで、その長男の子ども(被相続人の孫)が、被相続人の養子となっていた場合には、どうなるのでしょうか。
それは、以下のとおりです。
相続人 |
法定相続分 |
|
配偶者A | → 1/2 | |
子 | 長男B(死亡)⇒孫D(長男の代襲相続人) | → 1/6 |
二男C | → 1/6 | |
孫D(被相続人の養子) | → 1/6 |
孫Dは、被相続人の養子となることで、被相続人の子の身分としても相続人となります。
すなわち、孫Dは「長男の代襲相続人」と「被相続人の養子」という2人分の相続人の身分を持つことになるのです。
これが今回テーマの、相続人の二重身分(二重相続資格者とも言う)です。
【1人で、2人分の相続分をゲット】
さて、ここからがポイントです。
この二重身分となる孫Dは「長男の代襲相続人」と「被相続人の養子」、その両方の法定相続分を1人で受け取ることができるのです。
すなわち、孫Dの法定相続分は、1/3(1/6+1/6=2/6=1/3)となるのです。
相続人 |
法定相続分 |
|
配偶者A | → 1/2 | |
子 | 長男B(死亡)⇒孫D(長男の代襲相続人) | → 1/6 |
二男C | → 1/6 | |
孫D(被相続人の養子) | → 1/6 |
【人数のカウントは、あくまでも1人】
ただし、この二重身分には注意点があります。
それは、二重身分者は、両方の立場の相続人(代襲相続人・養子)の法定相続分を受取ることはできるのですが、法定相続人の数としては、あくまでも1人だということです。
すなわち、今回ケースでは、法定相続人は配偶者A・二男C・孫D(二重身分者)の3人となります。
相続税の計算では、生命保険金等の非課税(500万円×法定相続人の数)や、遺産に係る基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)といった計算式があり、法定相続人の数によって、相続税額が大きく変わってくるので気を付けたいところですね。
《参 考》
以下の関連するコラムも、是非、ご覧ください。
「相続税が2割アップするのはなぜ?」2020年5月掲載
ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏