ごえんをつなぐコラム

半血兄弟姉妹の取り分は、半分だけ?

DATE20.10.21

こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの藤原です。

今回テーマは「半血兄弟姉妹の相続分」です。

 

【半血兄弟姉妹とは?】

半血兄弟姉妹とは、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹のことです。

日常ではあまり使わない言葉かもしれませんが、たとえば、「離婚した父親が再婚して、その再婚相手との間にできた弟」などが、そうですね。

この場合は、いわゆる異母兄弟のことで、とくに珍しいケースでもないかと思います。

ちなみに、父母の双方を同じくする兄弟姉妹を、全血兄弟姉妹と言います。

 

いずれにせよ、血のつながっている兄弟姉妹ですから、亡くなった人に「子(およびその代襲相続人)」や「直系尊属」がいなければ、相続人となり得るわけです。

 

【半血兄弟姉妹の取り分は、全血兄弟姉妹の半分】

さて、問題は、その法定相続分です。

兄弟姉妹のみが相続人となる場合、兄弟姉妹が複数いれば、基本的には、その相続分は均等です。

しかし、兄弟姉妹の中に「半血兄弟姉妹」がいる場合には、「半血兄弟姉妹の取り分は、全血兄弟姉妹の半分」というルールがあるのです。

つまり、「全血兄弟姉妹2:半血兄弟姉妹1」という分け方をするのです。

 

たとえば、相続人が「兄(全血)」と「妹(半血)」の2人だとしましょう。

この場合、相続分は均等ではなく、全血の兄は「2/3」、半血の妹は「1/3」の相続分となります。これでルール通り、「半血兄弟姉妹の取り分は、全血兄弟姉妹の半分」となりますね。

 

しかし、この手の計算がなんだか苦手という人は少なくありません。

そこで、相続人に全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹がいるときの、相続分計算のコツをご紹介しましょう。

 

【ボールを使って、考える】

それは、全血兄弟姉妹はボール2つ、半血兄弟姉妹はボール1つ、と考えるのです。

先ほどの例では、兄(全血)はボール2つ、妹(半血)はボール1つなので、ボールは合わせて3つ。

すなわち、兄は「3つのうち2つ」、妹は「3つのうち1つ」となり、それがそのまま、相続割合となりますね。

 

この考え方がマスターできれば、いくらでも応用が効きます。

たとえば、相続人が「兄(全血)・姉(全血)・妹(半血)」の3人だとしましょう。

この場合も、兄はボール2つ、姉もボール2つ、妹はボール1つ、と考えればいいのです。すなわち、ボールは合わせて5つとなり、この数が分母となります。

そして分子は、全血が2、半血が1となるので、それがそのまま相続割合となりますね。

つまり、全血の兄と姉はそれぞれ「2/5」ずつ、半血の妹は「1/5」の相続分となります。

 

ちなみに、亡くなった人に配偶者がいる場合(相続人が「配偶者と兄弟姉妹」のケース)では、兄弟姉妹全体の取り分である「1/4」を、先ほどのボールの考え方で分ければいいのです。

 

【「嫡出子と非嫡出子」の関係と、ゴッチャにしないこと】

ところで、要注意なのが、「嫡出子と非嫡出子(※)」の相続分です。

かつては、今回テーマである「全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹の相続分」と同じく、「非嫡出子の取り分は、嫡出子の半分」とのルールだったのです。

しかしそれは、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反しているということで、平成25年の法律改正によって、「嫡出子と非嫡出子の相続分は同じ」となりました。

 

その法律改正とゴッチャになって、「半血兄弟姉妹の取り分は、かつては全血兄弟姉妹の半分だったけど、法律改正によって、どちらも同じになったんだろう」と思っている人がいるようですが、そこは改正されていませんので、気を付けましょう。

 

※嫡出子とは「法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子」のことで、非嫡出子とは「法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子」のこと

 

ファイナンシャル・プランナー
藤原 久敏

 

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