ごえんをつなぐコラム

年金法の改正情報が発表されました!

DATE20.07.06

みなさま、こんにちは。社会保険労務士の原田 悠太郎です。

今月、年金法の改正情報が出ましたので、その中からいくつかの話題をピックアップしてご紹介したいと思います。なお、これらの改正は2022年以降に施行されるものですので、現在はまだ適用されていないという点についてはあらかじめご承知おきください。

 

①厚生年金保険の適用拡大

これまでに労働者数が原則501人以上の事業所を対象に、短時間労働者への厚生年金保険の適用が拡大されてきましたが、この「501人」という事業所規模の要件を101人→51人と順次引き下げることにより、短時間労働者であってもより厚生年金保険に加入しやすくなります。これにより短時間労働者であっても、将来は老齢厚生年金を受給できるようになったり、受給額を増やしたり、ということが可能になりますので、老後の資金問題の不安への対応策をとりやすくなります。また、万が一のときに障害厚生年金等を受給できる可能性も広がりますので、老後だけでなく、現役中の保障も厚くなることになります。

 

②受給開始時期の選択肢の拡大

現行法では、年金の受給開始時期が60歳から70歳の間とされていますが、年金の受給開始時期が、60歳から75歳の間に拡大されることとなりました。具体的にいえば、現行法では繰下げ受給開始の年齢としては、現行法では70歳までとされていたところ、改正後は75歳まで拡大されることとなり、その分、繰下げ増額率が上昇(現行:最大42%→改正後:最大84%)することとなります。これにより、より増額された年金を受給することができるようになりますので、老後の生活資金を個々の選択で確保しやすくなります。この制度をうまく利用すれば、年金額の増額という形で月々の年金収入を増やすことができることになりますから、年金に依存せずに働けるうちは働いて収入を確保し、働くことができなくなったときに年金を受給する、という形式が実現されやすくなるのではないでしょうか。

 

60歳代前半における在職老齢年金制度の見直し

在職老齢年金制度とは、本来、老齢により生活の安定が損なわれる事態となった方に向けて支給すべき老齢厚生年金を在職中であっても受給することができる制度ですが、この場合、一定以上の収入がある方については報酬との調整によって減額が行われることがあります。

この減額される収入の基準が、今回の改正によって引き上げられることとなり、簡潔にいえば、在職中であっても受給することのできる年金額が増えることとなります。

 

以上、主な改正点のご紹介でした。 

社会保険労務士

原田 悠太郎

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