厚生年金基金、忘れていませんか?
DATE20.05.29
みなさま、こんにちは。社会保険労務士の原田 悠太郎です。
今回は年金をこれから受給する方はもちろん、もう年金の受給が始まっている方に向けてのコラムとなります。
タイトルでは、「厚生年金基金、忘れていませんか?」ということで書かせていただきました。まず、厚生年金基金について大雑把にご説明すると、厚生年金基金は、本来政府に納めるべき厚生年金保険料のうち一部を厚生年金基金に掛金として納付し、集まった掛金を運用などすることによって、厚生年金基金の加入者が年金を受給するときに通常の厚生年金よりも増額された年金を受給することができる仕組みを提供する組織でした。一般には「企業年金」と言われることもあります。
この「厚生年金基金」ですが、加入していたにもかかわらず、その加入記録がうまく個人と結び付けられていない場合があります。例えば、「結婚して姓が変わり、当時の氏名と現在の氏名が一致しないため別人の記録として管理されてしまった」「転職をした際に年金手帳の番号が変わったため、別人の記録として管理されてしまった」といったケースがあります。
この場合は、旧姓の自分が別人と扱われた・同姓同名別年金番号の別人として扱われた、ということですので、実在の誰かに記録を取られてしまったのではなく、言うなれば「架空の人物」の記録として管理されている状況です。したがって、この「架空の人物」が自分であることが証明できればこの記録が自分の年金記録として統合されることになり、結果的には厚生年金基金から給付を受けることができるようになります。現在では厚生年金基金は廃止の方向に向かっていることもあり、あまり身に覚えがない方も多いかもしれませんが、「昔、短期間だけど勤めていた会社で基金に加入していた」というケースもあったりしますので、一度、ご自身で確認してみてはいかがでしょうか。
年金手帳を見てみたら厚生年金基金の加入員証がホチキスで留まっていたり、あるいは厚生年金基金から請求の案内が来ていたけれども、そのままスルーしてしまった、ということもあるかもしれません。お心当たりがあれば、厚生年金基金の加入員証があった場合はその厚生年金基金に対して、そうでない場合は企業年金連合会という組織が窓口になってくれますので、念のため確認してみることをおすすめします。
社会保険労務士
原田 悠太郎