ごえんをつなぐコラム

四格を育む㉗

静観していると危険な年金問題

DATE20.01.30

みなさまこんにちは。社会保険労務士のマギー恵太こと、原田 悠太郎です。

今回は、年金制度について、老齢年金の受給に向けて年金保険料を納付する立場からコラムをお届けしたいと思います。

 

我々は、なぜ年金保険料を納めているのでしょうか。

それは率直なところ、「将来年金を貰うため」ではないでしょうか。

 

厚生労働省の「教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?」では、公的年金制度について、「公的年金制度は、いま働いている世代(現役世代)が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「世代と世代の支え合い」という考え方(これを賦課方式といいます)を基本とした財政方式で運営されています(保険料収入以外にも、年金積立金や税金が年金給付に充てられています)。」としています。

 

つまり、この厚生労働省の説明によれば、「あなたの払った保険料はあなたのためのものじゃない」という話です。本当に素晴らしく、崇高であり、最高に美しい素敵な理念ですよね。

 

ところで、我々のような一般国民の中には、自分の老後・将来の年金のためにと、汗水垂らして働いたお給料の中から年金保険料を納めている人が、それなりに多数いるかと思います。

 

しかし、年金保険料の納付について、そのように「自分のため」と思っている人が一定数いるということは、それは政府の説明不足か、あるいは何らかの形で、先ほどの高潔無比な理論を前面に押し出さず、「年金を払っていれば、将来老後が安心ですよ。」という触れ込みで、国民から保険料を徴収しているのではないかと私は思います。これって、ある意味国民を「欺いている」といえるのではないでしょうか。だって、国民には「自分のために年金保険料を払っている」と思い込ませておいて、実際は「あなたの払った保険料はあなたのためのものじゃないから。」という言い分なわけじゃないですか。しかも、もし年金保険料を納めないと、督促状が届いたり、挙句の果てには差し押さえなどといった手段を執られたりするわけですよ。これは恐怖ですよね。

 

もっとも、法律に定められたことなので、法律で定められてしまっている以上、文句が言えないことではありますが、「なんか腑に落ちない」と思いませんか?

そして我々が「なんか腑に落ちない」と思いながらも従順に保険料を納めているわけですが、そんなことをしているうちにも、我々の年金が危ぶまれる状況は着々と進んでいます。

 

自分の老後がかかっているにもかかわらず、多くの国民が無頓着に政府任せにしているこの状況を、私はとても由々しい状況だと思います。しかし、法律のきまりですから、簡単には制度を変えることができないのも現実です。

 

そういうことならば、せめて年金制度で何が起きているのか、自分に将来降りかかるおそれのある問題はどういうことなのか、その危機に対して個人レベルで対策するには、どうすればいいのか、くらいの知識は付けておきたいものです。そうすれば、老後に「こんなはずじゃなかった」という事態に陥るリスクを下げることができ、いまから老後を含めたライフプランの設計にもつなげることができます。

 

「後の祭り」という言葉がありますが、老後、取り返しがつかなくなってから、「そんなの知らなかった!」とならないように、いまのうちから対策を練っておきたいですね。

 

社会保険労務士

(マギー恵太こと)原田 悠太郎

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