“人材”という課題解決に向けて~第2回地方創生EXPOから~
DATE19.03.07
2月27日から3月1日の3日間、幕張メッセにて開催された第2回地方創生EXPOが開催された。地方創生というテーマであることから、早速初日に視察をさせていただき、冒頭の基調講演と特別講演を非常に興味深く聴かせていただいた。
基調講演は「スポーツビジネスと地方創生」という演題で(一社)日本トップリーグ連携機構代表理事会長の川渕三郎氏、スポーツ庁長官の鈴木大地氏、スポーツ庁参与で㈱横浜DeNAベイスターズ前代表取締役社長の池田純氏の3人のそれぞれの講演とパネルディスカッションが、1,900人を超える大勢の聴衆の前でおこなわれた。スポーツという要素からスポーツビジネスに関わる比較的若い年齢層の人たちや自治体関係者など様々なひとたちが熱心に耳を傾ける中で、90分間の基調講演はあっという間に終わった。3人のスピーカーの方々からは、スポーツビジネスにおける現状と課題についてそれぞれの立場から非常に有益なコメントを聴かせていただいた。
特に川渕三郎氏からはスポーツ界の最も大きな悩みは、“人材”であり、高い見識と企画立案能力を持った人材確保が非常に重要との認識が示された。スポーツ界での様々な改革に挑んでこられたご自身の経験からも、そのような人材がコペルニクス的発想の転換と夢、そして熱意を持って取組むことがスポーツビジネスを通じた地方創生には必要だ、とのお話にはとても元気付けられる思いがした。
また、鈴木長官からも第二期スポーツ基本計画で、現在5.5兆円から2025年には15兆円の市場規模実現への成長産業化と共に世界最先端の健康立国に向けたビジョンが示される一方、スポーツビジネスにおける経営力強化という課題にも言及された。この点においても川渕三郎氏と同様に人材が重視され、特に“経営がわかる人材”が求められていることが強調された点には、ますます使命感を持たずにはいられなかった。
もう一つの特別講演では、「DMO(観光地域づくり)」というテーマで、DMO推進機構代表理事の大社充氏と観光庁DMO支援室長の河田敦弥氏からそれぞれDMOの仕組作りと観光産業の現状についてお話があった。(DMOとはDestination Management / Marketing Organizationの略称で、観光地域づくりを持続的戦略的に推進し、牽引する専門性の高い組織・機能のこと)
大社氏は、DMOの仕組作りのなかでの課題は、やはり人材であり、特に財務担当者の重要性を強調されていた。ステークホルダーマーケティングや資金調達ができる専門人材が必要なのだと。
基調講演、特別講演においてスポーツ産業や観光産業が取り上げられたが、これらの産業の活性化が今後の地方創生に欠かせず、共通の課題として経営や財務に精通した人材(しかも熱意を持った専門家)の確保が急務であるという点では、私たちの協会の存在意義もとても大きいのではないだろうか。
先日、当協会認定の企業経営アドバイザーの加藤寛大氏から、Jリーグ入りを目指す地方のサッカークラブ及び地域経済の活性化を支援している旨のご報告をいただいた。加藤寛大氏の活動が、基調講演で川渕三郎氏が話されていた「高い見識と企画立案能力、そして夢を持った熱い人材」の確保につながってゆくのであれば、とても素晴らしいことだと思う。協会認定の企業経営アドバイザーは現在77名に至っているが、地方創生に必要とされる人材として一人でも多くの方が、ご活躍されることを願ってやまない。
一般社団法人日本金融人材育成協会理事
飯田 勝之