“物をつくる前に人をつくる”~経営哲学の普遍性
DATE18.10.01
2018年8月31日、パナソニック株式会社ナレッジサービス推進室様より、職員の方々がチャレンジされる第三回金融人材・企業経営アドバイザー検定試験について、ご説明をさせていただく機会を頂戴した。京橋のオフィスにお伺いする前に、門真市にあるパナソニックミュージアムを見学させていただいた。
広大な敷地にある門をくぐると、創業者松下幸之助氏の銅像に出迎えられ、“ようこそ”という声が聞こえてくるようであった。この銅像は幸之助氏92歳の誕生日に従業員組合から贈られたもので、銅像の前のプレートには、『一貫して「物をつくる前に人をつくる」を信念とし、従業員の福祉労働条件の向上と「対立と調和」の精神に基づく健全な労使関係の発展に尽くされました。』と刻まれている。「物をつくる前に人をつくる」、思わずこの言葉に共感し、何度も心の中で囁いた。
歩を進め、まず、松下幸之助歴史館を拝見したが、生い立ちから創業、そして世界的な電器メーカーへの躍進とその生涯が如実に再現されているのに驚くと共に、創業者の経営観や人生観に触れることができた。館内では展示物とともに、「松下幸之助のことば」として30の言葉が並べられ、全てが英文にも翻訳され、思わず引き込まれてしまう。「お客様大事」「成功するまで続ける」「熱意が道をきりひらく」「事業は人なり」など、30のどの言葉をとっても、事業を興し経営を成功に導く上で大切なことばかりである。その中にも勿論「物をつくる前に人をつくる」がある。歴史館見学を通じて、私自身にとってはこの言葉が最も心に響いた。起業を目指す人には、是非この歴史館を見ていただきたいと思う。
次に拝見したのが、ものづくりイズム館。創業以来開発され世に出された歴代の電化製品が展示され、まさしくものづくりのDNAを実感できる場所であった。
このあと、京橋にある同社ナレッジサービス推進室様にお伺いし、受験を予定されている方々のキックオフ会議で、金融人材・企業経営アドバイザー検定試験と資格認定要件の説明をさせていた。その際、ナレッジサービス推進室の中村室長によると、「人づくり」を中心に据えた「戦略づくり」「ものづくり」「仕組みづくり」のサービス提供のために、この資格を多くの職員の方が取得される、とのお話をお聞きし、感銘を受けた。
パナソニック株式会社は今年で創業100周年を迎え、100年経っても世界のPanasonicとして輝き続ける根拠をここに感じずにはいられない。創業者の経営理念、信念というものが、連綿として受け継がれ、今でも脈々とした普遍性がここにあるのだと。
私ども日本金融人材育成協会の創立は2017年9月1日、ちょうど一周年を迎えたところだが、これから100年の歴史を刻むには「人づくり」に勝るものはないかも知れない。人づくりを実践しつつ、自社で培った無形の資産をサービスとして世に提供する事業展開の姿から、多くのことを学ばせていただいた。
一般社団法人日本金融人材育成協会理事
飯田 勝之